soul-eye

昨日の記事の続き---


翌日、俺は威圧系ボスと飲んだ

先日の会議の反省会とここだけの話をしに

「セバスチャンが来るって本当ですか。俺たちの間に秘密はなしですよ」

人事の事だ。俺は聞いてみた

「セバスチャン？誰だっけ」

「誰ってバルセロナの後輩の」

「おおっ、あいつな。俺、別な人を思い浮かべていた

あれ～、あの人女性なのにセバスチャンって言うんだっけかって」

こんなところでとぼけるボスではない

「実はですね。バルセロナの情報で、ボスのごり押しで

セバスチャンがうちの課に来るって話になっているんですよ」

「そうなのか」

「そうなのかって・・・」

本当にビックリしていた

「どうしてそうなったのかなあ」

「威圧系だからではないでしょうか」

「・・・・」

「す、すいません。言い過ぎました」

実際のボスは威圧系ではない（と俺は思う）。変なあだ名をつけられて可哀相だ（と思う）

しかし良いあだ名だと・・・

話を変えるために俺はバルセロナの話題にした

昨日のバルセロナ

「バルセロナは後輩思いなんですよ

セバスチャンが俺のところに来るって聞いて、俺に一丁前に説教をしましたよ

あんたの指導じゃ僕は大丈夫ですけど彼は持ちませんって」

「ほう、言うじゃないか」

「ねっ、良い奴でしょう」

二人でバルセロナの成長を祝い乾杯だ

が、ふいに

「まてよ・・・」

「どうしました」

ボス、ちょっと考えている

「それってさ」

「はあ」

「普段僕はsugaさんに苛められて困ってますって信号じゃないのか」

じゃないのか

じゃないのか

じゃないのか

じゃないのか

「そ、そうですか」

「そう読み取れるだろう。部下からの重要なシグナルだぞ」

重要なシグナルだぞ

重要なシグナルだぞ

重要なシグナルだぞ

重要なシグナルだぞ

「僕はいつもsugaさんに怒られて辛いですって言っているんじゃないのか」

辛いです

辛いです

辛いです

辛いです

「あ、あの野郎」

昨晩の違和感がやっと分かった

「ほら、そうやってすぐ怒る」

ボス冷静



更に翌日

片岡さんとドライブだ

「・・・というわけなんですよ。人事の話をしたと思ったら

俺に毎日怒られて辛いって言ってたんですよ、奴は」

俺はブリブリ怒っている

「う～ん。もうひとつ重要なシグナルがあるな」

うちの上司たちはどうしてこんなに部下思いなんだ

もうこれ以上、シグナルは要らないって

「僕はストレスに強い忍耐力のある男だけど

あいつは軟弱者ですって主張しているんだ」

主張しているんだ

主張しているんだ

主張しているんだ

主張しているんだ

「しかも、

sugaみたいな奴と付き合えるなんて俺くらいなもんだぜーーって言ってるな」

言ってるな

言ってるな

言ってるな

言ってるな

「あ、あ、あ、あの野郎」

「ほら、そうやってすぐ怒る」

片岡さん、爆笑



その日は珍しく片岡さんとバルセロナ、そして俺の３人だけになった

「お前、sugaに言いたい事あるんじゃないか。あと、何か認めて欲しい事とかないか

俺が聞いてやるよ」

「いえ、別に」

びっくりしているバルセロナ

「良いから。一昨日の晩話した事を

日本語に訳して言ってみろ」

「一昨日って・・・」

突っ込まれる部分はなかったはずだけど・・・という顔のバルセロナ

「お前、毎日sugaに怒られて辛いんだってな」

「僕はそんな事思っていませんよ」

「だって、セバスチャンなら“会社を辞めるくらい”耐えられない毎日を送っているんだろ」

「あっ」

「ま、お前の忍耐強さは俺が認めてやるからもう暫くsugaのところに居てやれよな

こいつも寂しい奴だからさ」（この顔俺）

「違います違います」

「な・に・が・ち・が・う・ん・だ」

俺が笑って言うと

「ひどいや～、二人とも」

「ボスも同じ事言ってたぞ」

「あ～、三人して」


一昨日酒を呑んだのはバルセロナの優しさだ

俺が結構大変な会議をやって、疲れているのを見て誘ってくれたのだ

「酒呑みたいです」って言いながら俺の雰囲気で誘ってくれたのだ

後輩思いでもあり、先輩思いの

そういう奴なのだ

たまに仕返しするけど



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