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2008/09/11
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カテゴリ:徒然奇2

俺の手の届くところはの奴の話の続き 

バイトをしている時だ
奴と俺は一緒に力仕事をしていた。デパートのイベント会場の制作でいろんなものを運んでは置いていた
俺は途中ハンバーガー屋の女の子と仲良くなってハンバーガーを貰ったりダブルハート
オブジェにペンキを塗ったりしていた
その時奴が入ってきたのだが、その会場の責任者の若い係長だかが奴に謝っている
その係長、会場を作っている俺たちに
「それをそこへ。いや違うな。こっちだ」
俺たちがのこのこ運んでいると
「そうじゃないんだよ。う~ん。君たちは馬鹿か」
などと言っていた奴だ怒ってる
「何だあの野郎」
俺はこいつの態度には頭にきていたが、ハンバーガーやジュースを貰って多少機嫌は良かったからまだ良かったが・・・
って、あいつ、言うこと聞いているんだよ、ちゃんとびっくり
そんなこんなあったんだが、その係長、やたら奴に謝っている
「馬鹿か。また喧嘩したんだな」ほえーと俺が言うと
「不思議なことがあったんだよ」わからん
とあいつが答えた
*******
「あれ持ってきてくれよ」
係長に言われて、はいはいと奴は階段を降りていった
そうして奴はでかいデスク状のものを担いであがってきたのだが
「おっ、軽くなった」
と思ったら、後ろで誰かが持ってくれたらしいスマイル
「すいません」
二人でえっちらおっちら持って上がって行ったら
「誰がそれを持って来いっていったんだよ」
と金切り声
さすがに、何が機嫌が良かったか分からなかった奴も怒ってしまった
その理由は簡単で
「一緒に運んでくれた人に悪かったから」
だったと云う
「あんたが持って来いって言ったんだろう。いい加減にしろよ、さっきから
俺の連れ(友人の意、俺の事)はどうでもいいけどな。あいつだって迷惑しているんだよ。殴られるぜ」
少々怒ってしまったらしい
「き、君は業者のくせに・・・あっ」
その係長、びっくりしたらしい
「この人が正しいじゃないか。さっきから進んでいないのはそういうわけだったんだね」
と、机の後ろから声がしたという
「あ、どうもすいません。置きましょうよ。あとは俺が持ってかえりますから」
奴がそういうと、階段の段差と荷物で見えないその人が
「良いですよ。すいませんねえ。私も一緒に運びますから」
と言って持ち方を変えたようなので、奴も後ろ手に持っていたのを前持ちに変えたというが、その時
「いや。あの、その、その、そのままで良いです」
と係長が急にしおらしく言ったという
「どっちなんだよ、この野郎。持ってくれている人に悪いじゃないか」
とうとう奴は切れて本当に怒ったらしい。もう、そっと荷物を降ろして
「良いですから。俺が持ってかえりますよ、この係長と一緒に」
というと
「申し訳ございません。私の指導が悪かったのです」
奴が言うにはすごい格好良いおじさんが、前に回って謝ってきたという
「なぜ謝るのですか。あなたも迷惑したはずだろう」怒ってる
「本当にすいません。あなたが本当に正しい。私は恥ずかしくなりました。君も謝りなさい」
「は、はい部長」びっくり
その格好良い人は部長という「人」だったと奴は言った
「立派な人だったなあ、部長」スマイル
という感想だった
*******

で、俺の目に次からのシーンが入ってきたわけだ
「すいませんでした、本当にどうすれば良いでしょうか。うまくいくのでしょうか」
俺が話を聞いている間も係長が謝っているし、今度は聞いてきたよびっくり
「どうすればって、ここをこのように・・・」
何か俺は気が気でなくアイディアを与えていたが、その時奴・・・
「なあ、何でこの人は謝っているのだ。さっきまでは随分自分の信念に基づいて行動しているようにみえたんだけど」わからん
俺はあははと笑った
「お前分かってないんだな。いいか、係長の上に課長が居て、その上に居る人が部長なのだ。この係長はな、俺たちに威張り散らしていたけど、部長に注意をされて反省しているのだ」
俺は解説をした。こいつ、本当に馬鹿だ。さっきまでやけに機嫌が良かったのは、この係長が自分の信念を通す男らしい人だと勘違いをしていたのだ、あはは・・・なんて暢気に思っている場合ではなかった
「やばい。あんた、早く逃げろ」
俺は奴と係長の間に入った
奴の顔は真っ赤になっていた
「この・・・野郎」
予想通りの角度で奴は係長に跳びかかった
俺は効くか効かないか分からないが奴の胸にパンチをくれた
「すいません、すいません」
「謝っている暇があったら逃げろ」
一旦は吹っ飛んだ奴がもう一回来た。次は俺も殴る気だ
「早く行けったら」
奴は感覚が違うのだ。謝れば良いわけではない。謝っては駄目なのだ
半端な覚悟でこいつに文句を言ったのが分かると、こいつは本気で怒る
「謝るくらいなら殺しに来い」
が口癖だった
俺は後ろ蹴りの要領で係長をどかしたが・・・
「良いよ。俺が人を見る目がなかっただけなんだな」
奴がファイティングポーズを解いて言った
「そうそう、落ち着けよ」
俺はほっとした。奴は人を油断させて殴ってくるって事はないのだ
しかも、パンチの威力で奴は俺の覚悟を感じてくれたのだ
当たり前だ怒ってる殺す気でなければ奴は止められない
「帰ろうぜ」
奴が言った
「帰るか」
「あ、帰られたら困ります」
係長が出てきた
ゴッチンきらきら
軽いパンチが飛んだ
「すいません。すいません。そっか~(俺のアイディア復唱)、すいません、すいません」
俺たちを見送るように係長は頭を下げていた
翌日現場に行くと、俺の言ったとおりのレイアウトになっていた






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Last updated  2008/09/11 08:03:20 PM
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