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カテゴリ:【小説】鴉組
十太夫は、白河が落ちたと聞いた時に、頭に来て酒を呑んで蕎麦を喰って、
「おい、二本差しのコンコンチキ。てめえはどっちでえ。芋か狐か間抜けのドン五里か」 などと喧嘩を売ってきたやくざ者をコテンパンにした。 その仇をとれとやってきたのが、掛田の善兵衛、桑折の和三郎だったが、 「あれ、旦那」 と、その二人、昔からの十太夫の顔馴染みで飲み会になった。 おいおいと戦禍寸前の町に残っていた連中も集まってきたが、 「ああクソ。侍はあてにならねえ。なあ」 と十太夫は、善兵衛、和三郎相手にグチりだした。 すっかり侍の消えたこの町は、もともと兄弟親戚が近場に居なくて逃げ場の無い流れ者ばかりが残っていた。 「へえ。旦那みたいなお侍ばかりならこうはならないんですがねえ」 と、善兵衛が言えば 「皆、簡単に逃げ出しちまいやしたよ。ここも芋と狐がきたらどうなるのか。なんとか逃がせる奴は逃がしましたが。 あいつら飛蝗みたいなもんですからね」 と和三郎が加えた。 ここも、一旦大政奉還後に薩長軍を受け容れた時に散々な目にあったのだ。 仙台でも100人近くの町女や武家の女が犯された。 もう一度、薩長がやってくるのだ・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/10/18 07:22:20 AM
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