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カテゴリ:【小説】鴉組
「あんたら、早く入れ」
おばばに促されて二人は家に入った。 「芋でも狐でもねえようだな」 ジロリと見たおばばの視線に、十太夫先生は平気だったがヒデ公は 「ど、どうにもいけねえや」 と、小声でブルった。子供の頃にこのようなおばばに苛められたのだろうか。 十太夫先生はすでに昔かたぎとなった二本差しの武士姿で、ヒデ公は長ドスを持たない旅がらすには見えない地元の無宿者そのままの雰囲気だった。 江戸時代、旅人は武士だろうが商人だろうが一本刀を持って歩いた。 ヒデ公はそこらの地蔵や木を武器にするので必要なかったのだ。 「おかしな二人連れだな」 おばばは“湯”だけをくれた。 「これしかねえ」 「頂戴します」 十太夫先生は出された湯を茶のように丁寧に飲んだ。 「おばばだけかよ、ここに居るのは」 ヒデ公がやけに丁寧に訊いた。 「んや、皆おるが家から出ん」 「何でや」 「芋と狐に会ったら災いだでよん」 十太夫先生、ヒデ公のイントネーションが変わったのに気付いた。 ここでは会話を成立させるためにできるだけ通常に書いているが、実は当時、江戸と奥州の人間(別に奥州だけではないが)が会話をするのが酷く困難だった。こんな時に奥州をから江戸へ出てきたヒデ公が役に立つ。 「芋とか狐って分からんが、結構いるのか」 「いるわ。30人ばかり、毎日ドンチャンしておるわい」 おばばは吐き捨てた。 人気ブログランキングへ くる天 人気ブログランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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