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カテゴリ:【小説】鴉組
「あれほど世話になった細谷様を賊と呼ばりくさり、ドンと(大砲が)鳴れば五里も逃げ出す。それが今まで威張りくさっていたサムライのすることか」
おばばはここぞとばかりに話し出した。 「細谷様ってまさか細谷の十太夫様かね」 ヒデ公が尋ねた。 「知ってるのかね。こっちのでかいのはここら辺の出のようだが、お侍様は江戸の人に見えるがね」 「大体そうだ。おいおい、もう少し話しねえ」 ヒデ公がおばばの話を促した。 こういったところで情報が収集できる。一応十太夫先生とヒデ公は仕事をしているつもりになった。 この時期、芋といえば薩摩芋の芋、狐といえば長州、ドングリ(五里)といえばおばばの説明通り伊達侍のとおり名である。味噌野郎とも言われた。とおり名というか悪口だな。 “細谷鴉と 十六ささげ なけりゃ官軍高枕” これが鴉組の評価であった。 だが、気になるのは細谷の十太夫のことだ。 「おうおう、おばば、んだんだ。ヘロヘロの裏じゃ何やってるか分からねえのがサムライでえ。だがな、ここにいらっしゃる十太夫先生は違うぜえ。貧乏なのが何よりの証拠でえ」 ヒデ公は喋ったが腹が減っていた。 「ありゃ、あんたも十太夫さん言うのかい」 おばばの表情から警戒の色が少し消えた。 「細谷さんとは道場の先輩後輩になります。岩瀬の十太夫と申す。彼を探してここまできたんだが」 十太夫先生、いつもより清まして言った。 「鴉組かい」 おばば、びっくり顔で訊いた。 「違いますよ」 「こんな品の良い鴉はいねえな。こっちのでっかいのは居そうだけど」 おばばからは完全に警戒が消えたようだった。 人気ブログランキングへ くる天 人気ブログランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/10/29 11:56:05 PM
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