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2008/11/01
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カテゴリ:【小説】鴉組
「ここいらの奴ら、諦めてますわ。あっしもね、下手なことして逆に西軍に町を荒らされちゃならねえかなってしんぺえしていたんですけどね」
「ふむふむ」
「話を聞いてみたら、どう転んだって芋とか狐にこいつら皆殺しでさあ」
「そう・・・なのかな」
十太夫先生は疑心暗鬼だった。江戸は無血開城を行い、それこそ弾左衛門の宿も残り、あとは天皇陛下の行幸を待つばかりである。
「どっかに居るそいつらブッ叩いて、飯を食いやしょうや」
「いや、でも、そうなのかな」
十太夫先生、首を捻った。
「そうなのかなって、何がで?先生」
「本当に薩長の連中はそこまでやったのだろうか」
江戸でしかも弾左衛門の宿にいた十太夫先生はいま一つピンと来なかった。
江戸は鳥羽伏見から上野の戦いと続いても、勝・西郷の会談による平和的明け渡しと重鎮達の鎮座府としての治安安定、また、弾左衛門の卓越した政治力と交渉力により、安定を比較的保っていたのだ。
しかしヒデ公はこれまでの侍階級に対する不信感と力を突然持った小人の醜さを知っていた。
だからおばばの言うことを理解していた。
「やったからこうなったんでやしょ。見たまんまでさ」
「う~む」
見たまんまでさ、には十太夫先生、こたえた。
その時、まさに絹を引き裂くような悲鳴がした。
「お絹!?」(駄洒落かよ)
おばばが叫んだ。
「お絹の声だよ」
三人は家の外に出た。

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Last updated  2008/11/01 11:29:14 PM
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