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カテゴリ:【小説】鴉組
「凄いもんだな、ヒデさん」
十太夫先生が歩きながら語りかけてきた。 「何がですか」 「武士でも初陣は緊張するものさ。でも皆は随分腹の座った顔をしていたなあ」 「へえ。ま、ここらへんはどうか知りやせんがね。あっしの田舎なんか冬は暇になるんで学問と武芸をやるんでさ」 「ほほう」 ヒデ公は奥州田村藩の出だった。 「そういやここらの三春だかのお姫さんが田村の殿さんがどうとか。何でしたかね。 ま、あっしがここで喧嘩をするのも何か縁があるんですかね」 ヒデ公は福島の三春出身の愛姫が伊達政宗の正妻となり、正宗が田村家を一関に復興させたのが田村藩の始まりだという事を言いたかったようだ。 「久しぶりの大喧嘩だね」 十太夫先生、くっくっと笑った。一般的には白河戦争に続くいくさと云う状態なのだが、この二人は来たばかりでその言葉を知る由もないし、やはり喧嘩なのだ。 「ヒデさんは鉄砲を持ちなれているね」 十太夫先生、不意に気付いた。 担ぎ方や構え方が似合っているのだ。十太夫先生は武芸は得意だが鉄砲は初めてだった。 「磐井先生に教わったんですよ。今でもあの先生の言うとおりにしてたら、きっと田村は強いですぜ」 ヒデ公も上野戦争を見ていた。そうして感じたのは、大槻磐井の先見の明だった。 「器械(銃器、大砲)に関しては西洋が上だな。これを揃えたら仙台藩ももう一回天下を狙えるんだがなあ」 そう言ってヒデ公に長崎で手に入れた新式銃の使い方を教えていたのだった。 「ヒデっこの時代には剣術は必要ないからなあ」 そう言った磐井先生の笑顔は、隣にいる十太夫先生に良く似ていた。 人気ブログランキングへ くる天 人気ブログランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/11/29 07:20:28 PM
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