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カテゴリ:【小説】鴉組
細谷十太夫の安否は意外に早く入手できた。
この六人が揃うと、妙にどこの誰とも話ができる。 やはり細谷十太夫は縛られ籠に入れられ地元の岡っ引きの親分のところに預けられていた。 ただその間にも、たくさんの差し入れが近在から十太夫に届けられた。それをまた西軍兵が盗んでいくので石巻でも西軍は評判が悪かった。 奥州の英雄細谷十太夫を一目見ようと、いや、自ら詮議しようと乾退助は石巻にやってきていた。 既に六人組は西軍の軍服を手に入れて、西軍総司令乾退助の護衛隊の最後尾につけていた。 所詮にわか農民兵。中心から離れれば離れるほど列が乱れている。 「のう、乾などという名は珍しくないかえ。もしや土佐の乾退助と言うのは猪之助殿ではないのか」 「あの猪公ですかい。あの野郎ならなんとかなりそうですがね」 こう話したのは何時もは無口なステであった。 馬上で凛々しく髭を蓄えゆっくり民を見ながら移動する乾退助は、自分の命を的にしながら、既に平和な奥州であるとの自信でゆっくりゆっくりと馬を歩かせていた。 「もう戦火はあるまい」 これはこれで乾退助の意地であった。 既に夜半。岡っ引きの家について、篝火の中自分は床几に座って、庭に十太夫を連れてこさせた。 そうして驚いた。 「なぜ細谷殿は籠の中でしかも縛られておるのだ」 退助はそう呟いた。 行く先々での奥州人の怨嗟の眼差しの意味がこれで分かろうものだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/12/29 02:03:53 PM
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