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カテゴリ:武術
多分足かけ7年ぶりに、太極拳の先生に再会した。
「先生、ご無沙汰しております。というか先生が蒸発していたのですが」 「本当に久しぶりです」 しみじみ俺の身体を診る先生。 「手は覚えていますよ。前より、前より強力になっているじゃないですか!」 「そうですか。私ねえ、やっていましたよ。先生は最後に強烈な投げかけをして、去って行きましたから」 「私、何を言いました?」 「当時私は套路と先生から言われた木刀と模造刀での居合をやっていただけでした。そう、先生に吹き飛ばされてあの狭い部屋で器具にぶつかりそうになって二人で腕をとりあってギリギリで止まったりしたじゃないですか。そうして技を何度も喰らって思ったんですよ。『手首の先に秘密があるのではないか』って。そうしたら先生、『正解です。次からはそこに入りましょう』で終わったんですよ」 「これからは極意を全部教えます。私はもうやりませんけどね。寧ろ極意を全部教えます。超極意」 「超極意ってそれはダメでしょう、先生。また一緒にやりましょうよ」 「まあ、それはね。いいですから、sugaさんが全部覚えれば良いのです」 「俺は嬉しいけど、先生も一緒です。ほら、動けなくなったけど達人のっ人もいたじゃないですか。先生も俺が動けない時に60歳青春説っていったでしょう」 「そんなになるまで、やるものでしょうか」 「あっ!」 先生も色々あったらしい。その気持ちは俺も分かる。 「でも先生、やはり色々成長もあるというじゃないですか、人格を見るとか」 「ここまでやってきたsugaさんだから良いのです。私が居ない時期に・・・」 先生も、その又先生、つまり大先生がお亡くなりになって別れてから色々考えたのだという。 そうして気付くこともたくさんあり、大先生といる時よりもまだまだだったのだなあと思ったという。 そうして、自分で套路の研究をしたら大いに気付くことがあったという。 「そういう時期だったのです」 「そうですか」 ちょっと上手いと思った。 「ということで、手首から先の秘密ですが」とあっという間に教えてくれた。 「チョキです」 「はっ?!」 この謎かけ。 ・・・・ふと気付いた。 「先生。昨日八光流柔術の本買ったんですよ。先生の手の形と力加減に似ているなあって。そう云う事だったんですか。一日違いで1200円でした」 「あれは実戦的ですよね。そう、多分八光流にもあったとも運ですけど、だんだん動かなくて良くなるんです」 そうして打撃の段階も教えて貰った。様々な本とは全く違う言葉で・・・。 「出ましたね、先生。本はホントの事を書いていない」 「でもsugaさんは研究するんですよねえ。だけどね、段々打ち方も套路もどうでも良くなりますからね」 「先生は身体が動かなければ第2勢までで良いと仰いました。しばらくは本当、それだけでしたよ」 そうして先生に言われるまま、教えて貰った畳1畳太極拳をやってみた。 「足が随分でますね。相当やったでしょう」 そりゃそうだ。動く限りはやったし、動かなくても歩いている時にずっと意識していたから。 でも俺はその言葉に救われた。この7年が報われた。 「先生。身体が治るほどに崩れるんです。ゴリゴリの時はその武術の動きしかできなかった。だから力が入ると分かった。先生の言った通りすぐやり直しました。今はどんな重い木刀も軽いんです。腕見て下さいよ。筋トレしていないのに異常です。居合も刀が引っかかるんです。余計な力が入っているんですよ。矛盾です。やらないほうがよい位で止めました」 俺は矢継ぎ早に、流れるように話した。 「大丈夫。またやりましょう」 先生はにこやかだった。 その日は、金剛搗碓と攬雀尾を教わった。 これは陳式太極拳と楊式太極拳の代表的な技だという。 そうして相棒の先生と(太極拳の先生ではない先生)と推手をやった。 流石相棒の先生、連続技のスピードと流れが良い。なんか俺は体格差で何とかって感じで恥ずかしい。 だけど聴勁の練習で決まるのもある。 「おかしいな。なんでできるのかな。(パンチも)変な感覚だし」 俺も自分で自分が分からなかった。 「それで良いんですよ。よく分からないのが良いんです。微妙なんですよ。それとチョキに関しては、これまでの練習の成果、それです」 嬉しくなった。無駄ではなかったのだ、あの足掻きが。 そして、時折見せてくれる相棒の先生の技も本当に素晴らしく、見ているだけで色々参考になる。 俺たちは3人が3人とも違う技をバックボーンに持っているので(この場合俺は特に複雑な状況だが)、普通の道場とは違う。 あくまで他流試合対抗の練習だ。この他流試合は俺が昔使っていた喧嘩=他流試合とは違う。 武者修行に近く、大体俺の右ストレート対抗になる。そこに二人がどういう技があるかを見せてくれる。 デカくていい加減な奴の不当な暴力から身を守るのが武術とすれば、正しく武術だ。 俺が緩く出すと 「ちゃんと顔面を狙ってください」 「もっと速くて重いのをお願いします」 この人たちは何なのだ?! だが反撃は手加減ありの中でも俺の身体に刺さるのである。身体が開いたところに入るからキツイ。 こういう遊び(?)も入れながら推手は続いた。 「2人のはフリー推手ですね」 先生の突然の造語に皆で笑った。そんなのあるかよ。 「先生、次の俺のテーマは何ですか」 「発勁ですね。いえ、今でもありますから次の段階に行きましょう。意識していて下さい」 でも本当に笑った。次回は正式な推手だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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