続・大切な何かと過ごす時間
『ぎゃお』が天国に旅立って一年が過ぎた頃、キジトラのきちゃない雄の子猫が我が家にやってきた。『たも』と名付けられた子猫は、ガツガツ食って、見る見るうちに大きくなった。興味の対象が他のニャンコと明らかに違う、ミョーなニャンコでした。大好物はメロン(笑)当時の我が家は、古~い借家。ネズミなんかも出たりして。ある日、台所にネズミが出現!台所には『たも』のゴハンが置いてあります・・・ゴハンを食べに来た『たも』は、ネズミを発見!「むにゃ~・・・」こそこそこそ・・・おい!ワタシの後ろに隠れてどうするっ!!!本当に、優しいんだか、気が弱いんだか、バカなんだか・・・でも人なつっこくて本当に可愛かった。人なつっこかったから、ちょっと脱走した時に、変な餌を貰っちゃった。よろよろしながら家に帰って来て、座布団の上に吐き、そのまま動かなくなっちゃった。『たも』と暮らして七年目。当時ワタシは15歳。高校決まってたせいもあるけど、初めて学校休みました。『たも』がいなくなって約一年。今度は目ばかり大きな、宇宙人みたいな雄の子猫がやってきた。『クーパー』→『くう』と名付けられた子猫に、家族はメロメロ(笑)でも、ワタシだけは違っていた。まだ『たも』が忘れられなかった。だって、その当時で考えて人生の半分を一緒に過ごして来たんだから。『くう』を可愛いとは思いながらも、家族に対して腹を立てていた。『たも』の事を忘れちゃったの!?って。そんなワタシにも『くう』は擦り寄って来る。当時のワタシは、本気で『たも』に悪いから、あまり関わらないでおこう・・・と思っていた。『くう』が大きくなってくると、「ふるるるる」と喉を中途半端に鳴らしながら膝の上に飛び乗ってくるようになった。一年も経つと、ワタシの態度もいくらか変わって来ていた。だって、やっぱり可愛いし。二年が過ぎようとしてた頃、休日の早朝に起こされた。ドアを開けると、父が真っ赤な目をして立っていた。「『くう』が死んでた」走って居間に行くと、タオルを敷いた段ボールの中に『くう』は眠っていた。よく見なければ、口から血を流している事など気付かないくらい、穏やかな顔をしていた。父が早朝の散歩から帰る途中、車に撥ねられたらしい猫が、近所のゴミ捨て場のゴミバケツの上に乗せられていた。特徴的な模様には見覚えがあった・・・ワタシは泣いた。体中の水分が無くなるんじゃないかってくらい、泣いた。なんてワタシはバカだったんだろう。なんで、もっと素直にいっぱい可愛がってあげなかったんだろう。後悔ばかりが押し寄せて来て、そればかり考えていた。ずっと『くう』に謝っていた。『くう』の後に来たのが雄の白黒二毛ニャンコ『るう』。兄が連れて来た。『くう』の事での後悔があったから、今度は全力で可愛がってやろうと思った。かなりの暴れん坊で、ワタシの腕の上を爪を立てて走り抜け、ざっくりやられた事がある。大流血事件に発展。(笑)今でもその傷はハッキリ残ってる(汗)でもこのコは肺炎にかかって、やはり三年足らずで逝ってしまった。病院に入院して、「もうすぐ退院出来ますよ」と言われていたのに・・・母が見舞いに行った時、母が抱いた腕の中で突然出発してしまった。きっと母が来るのを待ってたんだと思う。我が家で暮らしてくれたニャンコ達。長生きさせてあげられなくてゴメンね。もう我が家では、すすんでニャンコを貰って来たりする事は無いと思う。だけど・・・もし・・・雨の降る路地裏、日照りの公園。ワタシ達が手を差し伸べる事で、繋がる命があったとすれば・・・その時にはもう一度、ニャンコとの生活が始まるのかもしれない。