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カテゴリ:【R】
コロナにプロミネンスにダイアモンド・リング、真昼間なのに水星や金星やシリウス・・・日本の陸地では46年ぶりの皆既日食は、超ビューティフルな天体ショーでしたね。 しかも【七夕&満月】と【日食&新月】が同月に重なるのは21世紀では【2009年の7月】だけ、おまけに22日はマヤ暦のツォルキンが1周するKIN260の日でもあったんですよ。 インドの神話では、日食や月食が起こる月の昇交点が【ラーフ】(Rahu)、降交点が【ケートゥ】(Ketu)と呼ばれ、この2人の擬人化されたアスラ(魔族)によって食が起こると考えらていました。 (ケートゥが彗星や流星である場合もあります。) ≪交点≫とは白道(月が地球を回る軌道)と黄道(地球が太陽を回る軌道)が交差するポイントの事、この付近を太陽や月が通る時に食現象が起こります。 ↓ラーフ&ケートゥの神話↓ インド版の天地創造である乳海攪拌の後、神々とアスラは不死の霊薬アムリタをめぐって争い、アムリタは神々の手に渡りました。 神々は集まってアムリタを飲みましたが、神に化けて混ざっていたラーフ(アスラ)もアムリタを口にしてしまいました。 それに気づいたスーリヤ(太陽神)とチャンドラ(月神)は、ヴィシュヌ神に知らせます。 ヴィシュヌ神はその4本腕の1つの手指でいつも回転させている、チャクラ(円盤状の武器)を投げてラーフの首を切断しましたが、首は不死になってしまいます。 天に昇ったラーフの首は告げ口された事を怨んで、太陽と月を飲み込んで日食や月食を起こす悪星になりました。 一方で切断されたラーフの胴体も天に昇り、ケートゥという凶兆の星になりました。 胴体のないラーフが太陽と月を飲み込んでも、すぐに太陽と月が現れてしまうので日食や月食が起こるようになったのです。 古代インドの【ナヴァグラハ】(9つの惑星の意味・九曜占星術の事)では、スーリヤ(太陽)、チャンドラ又はソーマ(月)、マンガラ(火星)、ブッダ(水星)、ブリハスパティ(木星)、シュクラ(金星)、シャニ(土星)の≪七曜≫(つまり1週間ですよね)に、このラーフとケートゥを加えます。 そしてそれぞれの神々は、自分の名前のついた曜日を守護していると考えられています。 凶兆とされているシャニ(土星)やラーフやケートゥも、南インドなどでは逆に厄除け的に手厚く信仰されていたりもするんですよ。 ナヴァグラハは古代中国において【宿曜経】として翻訳され、ラーフは羅候星、ケートゥは計斗星と漢訳されました。 この中国経由の≪九曜≫(又は曜日の概念)を日本に輸入したのは弘法大師空海さま、ですから真言密教では節分時などに星供養を行っている寺院もありますよね。 ラーフは仏陀の息子の名前のラーフラ(Rahula)、漢訳では羅候羅(らごら)としても用いられました。 ラーフラは転じて≪障害をなすもの≫の意味とされ、一説では≪出家の障害になる者≫が生まれたので仏陀が息子にこの名前をつけたとされています。 一方古代インド語ではラーフは【ナーガ】(竜)の≪頭≫、ケートゥはその≪尻尾≫という意味もありました。 そしてシャカ族のトーテムがナーガであった事から、ラーフラは古代インドの言い回しで【竜の頭】であるとも考えられ、≪ナーガの頭になる者≫が生まれたのを歓喜した仏陀がこう名づけたという説もあるんです。 この説の根拠としては、古来インドでは一族に跡継ぎがなければ出家する事が出来ないので、出家を願っていた仏陀にとって息子の誕生は又とない吉報である事や、仏陀の父の浄飯王もこの命名を喜んでいる事などが挙げられています。 本当の所はどうだったのか・・・いずれにせよ仏陀は出家し、ラーフラもその十大弟子の一人に、後には十六羅漢の一人にも数えられていますよね。 日本では熱狂と大興奮で迎えられた今回の≪日食≫、でもよりによって事もあろうに聖地ヴァラナシでも≪皆既≫だったんでスーリヤ!! 何せ食は凶兆と考えられているインド、沐浴シーンで有名なガンジス川のガート付近には太陽の復活を祈る群集が押し寄せて大パニック、死傷者さえも出たとか出ないとか・・・。 それでも太陽が再び現れて輝き出した時のインド人達の表情は、この上なく幸せそうに見えました。 安堵したのか、終わり良ければ全て良し、一種のカタルシス効果もあったかも・・・。 ラーフラの誕生だって、皆既日食だって、≪起きている事はいつも中立≫、本当は良いも悪いもない、吉兆も凶兆も一時のマーヤー(幻想)、でもそれを捉える人々の≪心・意識≫で全ては変わって来ますよね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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