LUST CAUTION ラスト、コーション
「ブロークバック・マウンテン」のアン・リー監督作品。「ブロークバック・マウンテン」では同性愛のカウボーイを描いてアカデミー賞を3部門(監督賞・脚本賞・オリジナル音楽賞)受賞。ヴェネチア国際映画祭でもグランプリの金獅子賞を獲得した。「ブロークバック・マウンテン」は、とにかく音楽が印象的で、出だしの2音を聴いただけで『あっ、ブロークバック・マウンテン』とわかるぐらい心に残った。主演のひとりヒース・レジャーが薬物中毒死したのも記憶に新しい。(まだ28歳だった)で、今回のアン・リー監督作品も成人映画のR-18指定ながら、ヴェネチア国際映画祭でグランプリの金獅子賞と撮影賞をW受賞している。作品の内容を一言で言うと・・・-女は愛を武器に男を殺さなければならなかった-その「男」とは、「インファナル・アフェア」のトニー・レオン。役柄は、1942年、日本統治下の上海で憲兵隊のリーダーをやっている男。つまり、抗日(中国のレジスタンス)から常に命をつけねらわれる売国奴。そして「女」とは・・・オーディションで約1万人の候補者の中から選ばれた元モデルの新人、タン・ウェイ。日本のタレントで言うと相田翔子に顔が似ている。身長172cm, 体重52kg, ハイヒールを履くとトニー・レオンを見下ろしてしまう長身で、スタイルは黒谷友香風。(実際、トニー・レオンが小男に見えてしまった)途中、けっこう過激な濡れ場が2回あるが、胸が小さいのでポルノっぽくは見えない。(過激と言ってもAVには到底かなわないけど)<感想>●158分と非常に長いが、まったく退屈しなかった。●映像と音楽がとてもよくマッチしているので芸術的。●予備知識ほとんどゼロで見ても、わかりにくい点はなかった。1942年に上海が日本の統治下だったことさえ知っていればオーケー。●同時期に上海で撮影していたので、12月に観た魍魎の匣【もうりょうのはこ】のセットをもう一度見ることになった。(大がかりなセットなので一見の価値あり)●ラストはハリウッドだと書き換えられてしまうかも・・・●香水の香りや街の匂いが漂ってくるような映像。やはり、この表現力はただ者じゃない。●実にパワフルな作品ですなー。食べ物だけじゃなく、将来は映画まで「チャイナまみれ」になっちゃうかも?<ワンポイント・アドバイス>麻雀を知らない人が見るとわかりにくいシーンがある。知っておいてもらいたいのは、「ポン」が「チー」より強いということ。トニー・レオンは自分のアガリを犠牲にして七筒(チートン)を立て続けに切り、タン・ウェイに勝たせようとする。(1枚目の七筒は別の婦人にポンされてしまい、チーしたかったタン・ウェイは1巡飛ばされてしまう)<評価>A-。感動で涙がこぼれるようなストーリーではないけれども、非常に見応えのある重厚かつ芸術的な作品。日本人を直接、敵視していないので日本人が観ても大丈夫。その点はまったく問題ない。当時の上海を映像で見てみよう。