世の中には面白い商売があるもので
きのう高知で会った長兵衛さんはペット用のマットを発明して、億万長者への道を突き進んでいる。そのマットがちょっと変わっているのだ。なにやら犬が大好きなニオイが染みついているらしく・・・犬はマットの上が大のお気に入りになってしまう。だから、そのマットを敷きさえすれば、すぐさま犬は座敷犬用のハウスに収まってくれるし、ペット用シートを敷けば、他の場所でそそうをすることもない。さらにこのマットのいいところは、犬がカジカジするので3ヵ月もたないところだ。飼い主はカワイイ我が子のために二枚目、三枚目を買わざるを得ないのである。リピート率、驚異の87.5%。つまり、8人中7人がリピートしてくれるのだからタマラン。倍々ゲームを上回るペースで売り上げが伸びているそうだ。※ここで、そのニオイを生み出す液体のことを「ジャンキー犬養成汁」と呼ぶことにしよう。ジャンキー犬養成汁は偶然の賜物だった。ある日、長兵衛さんはマウスパッドに「ある液体」をこぼしてしまった。すると飼い犬のペロがそのマウスパッドを手放さなくなった。マウスパッドをだいじそうに抱えて眠ったり、カジカジしたり、くわえてハウスに持ち込んだり・・・マウスパッドは5日ほどで粉々になったが、長兵衛さんが同じ液体を古いバスマットに染み込ませると同じことが起きた。どうやら酒と調味料を絶妙の割合で混ぜた液体らしいのだが・・・その配合は秘中の秘。もちろん特許は取っていない。たとえば酒が日本酒の八海山だったとしよう。同じ割合で同じ調味料を混ぜれば、黄桜だって、月桂冠だって同じマットができると思うだろ。ところがそうはならないのだ。ある特定の銘柄だけしか同じ反応は起こらない。このマット、実はまだクチコミで広まっているだけなのだ。なぜかと言うと、大量生産すれば原料がバレてしまうから。※近藤長次郎は坂本竜馬と同じ高知市上町で生まれた。NHKの大河ドラマで大泉洋が演じた「饅頭屋長次郎」である。※この話は大秀才だったと言われる近藤長次郎の話を聞いて思いついたフィクションです。