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カテゴリ:本
「孤独の歌声」天童荒太著
先日、ブックオフの105円コーナーで何冊か購入したうちの1冊。 天童氏のデビュー作なのだが、後の「永遠の仔」や「家族狩り」で開花する、 人間の心の奥に対する観察眼はここでも十分に発揮されている。 猟奇殺人とコンビニ強盗という2つの事件が絡み合って話が進んでいくのだが、 それが単なるミステリーに終わらないところがすごい! 以下、音楽事務所に所属しながらコンビニでバイトする少年が、 女刑事から「宮沢賢治のどこが好きか」と問われて、語った言葉。 『・・・この人が聴いている音は、普通の人間が聴いている音とは、全然ちがうと思った。 風が草の原をわたっていく音、風が木の梢をふるわす音、強い音、そよ風、雨が土埃の道を打つ音も、 雨が苔むしたでっかい長生きの岩を打つ音も、スズランが揺れる音も、鐘の音も・・・。 全部、いままでの人間が聴いてきた音とはちがう音を、この人は、聴いていて、それを書きとめているんだ。』 宮沢賢治の文学に音を感じる!?なんという感性だろう? あわてて賢治の本を取り出して読んでみたが、やっぱり何も聴こえなかった。 修業が足りんのか、それとも凡人には聴こえへんのかぁ~。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 14, 2013 11:38:11 PM
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