カテゴリ:●読書
自分は「本」というものが好きなので、特に一つの分野にこだわっていない。だからミステリー小説マニアではない。でも、人生初めての1カ月入院生活を経験したので、病院が舞台になった小説はないものかと本屋で探したら「ナイチンゲールの沈黙」という文庫本を見つけた。1カ月の極楽入院生活を経験して、少々ナイチンゲール症候群になりかかっていた自分にとっては興味引かれるタイトル。いつも行くLIVINの平坂書房へ行っても普段は気が付かない端の棚に並んでいた。宝島社文庫で著者は海堂尊という医師。ミステリーマニアからしたら、今頃読むなんて遅れてると言われそうだが、映画化やテレビ化になり話題になったという「チーム・バチスタの栄光」の著者らしい。書店の本棚には、この病院を舞台にしたシリーズが並んでいたが、第二作目の「ナイチンゲールの沈黙」を購入してしまった。本に巻かれた帯には「大ヒット★メディカル・エンターテイメント」「小児科を舞台に、看護師の活躍を描く」「ふたりの歌姫が小児科病棟に起こした奇跡」などと書かれていたので、ヒューマンドラマを期待して選んでしまったのでした。上巻を読み始め、ヒューマンドラマのような流れと「アヴェ・マリア」の歌が絡み合い暖かいものを感じながら読んでいた。アヴェ・マリアが出ている時点で、涙腺がゆるみ感動してしまう自分は、これはシューベルトのほうかグノーのほうかなどと興味がそちらへ行くほど話しに引き込まれた。ところが、後半でいきなり気分が悪くなる転回になり、読むのが嫌になった。ヒューマンドラマだと自分が勝手に勘違いして読んでしまったのが原因だが、この作品はミステリーだったのでした。それにしても嫌な転回。読む気がなくなった。犯人探しを中心に読んだら単純なのだが、殺人被害者の死体の姿がいかにも医学ミステリーぽい。だから僕の頭の中でアヴェ・マリアの美しい旋律と歌をBGMで流させ、穏やかな気分でページを進ませたのに、いきなり地獄に突き落とされ嫌な気分にさせられたのでした。それなら、この物語は無理やりミステリーにする必要もないだろうと恨むほどでした。 結局、犯人の目星もついたし、ストーリーも先が見えてきたので下巻は数ページを読んだだけで、今は続きを読むのをやめている。たぶん、結末としたらこのまま暗い悲劇で終わり、土曜ワイド劇場のテーマ曲「JOY」が流れそうな持って行き方や、なんだかんだと無理やりこじつけて正当防衛などのハッピーエンド風なエピソードや軽い笑いのシーンでごまかすのではないかと推測している。前者だとしたら名医ではないし、後者だったら病院という舞台を使った専門職ならではの特権を生かしただけのミステリーぽい物ということになる。こういった専門職ならではの話しは色々と発見があっておもしろいのだが、どうせ読むならトリックを使った本格的な推理小説が良いと思っている自分としてはミステリーとしてはイマイチ。それにしても「薬」として考えた場合、あまりにも副作用が強かった物語であった。読んでいる最中に、僕の頭の中でBGMとして流れていたアヴェ・マリアだが、最初は自分が好きなグノーの方が流れていたが、途中、小児科病棟の幼い患者に歌う子守唄のシーンにも使われていたので、これはシューベルトの方だったのかと気が付いたのでした。ちなみに家にあるアヴェ・マリアのCDは、キャスリーン・バトルのアルバム「SILENT NIGHT」に入っている、グノーとシューベルトの二種類だけです。 ■TRF-JOY(15th Anniversary Tour 2007) http://www.youtube.com/watch?v=fv7-VyfH-OU&feature=related お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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