カテゴリ:●読書
やっと上巻の第五部まで読み終わった。本を読むのに疲れたのは何年ぶり、いや何十年ぶりだろう。先日のブログで、目次を自分で整理したおかげで頭の中は整理され、読みやすくなったが、それにしても第四部は民主党トルーマン大統領のエピソードが長々と続いた。当時のアメリカの政界を知るには良いのかもしれないが、単純に朝鮮戦争の事を知りたいと思うと、これほど退屈なページは無い。このトルーマンのことだけでも、新書版一冊くらいのボリュームがあるのだから驚いてしまう。1ページは、45字×20行、900字詰のボリュームだ。第四部では、朝鮮戦争1年前の中国国民党政府崩壊・蒋介石の台湾逃亡も書かれているが、短くて、特に目新しい情報は書かれていない。 第五部・18章は、この本を買った時に期待していた最前線での戦闘が語られ、買って失敗だったのかな?という後悔は吹き飛んだ。今まで読んできたアメリカ本国での政治ゲームに腹が立つくらい、落東江の戦い(釜山橋頭堡攻防戦最前線)の米軍兵士の悲惨な戦いが描かれている。夜間、米軍の何十倍もの北朝鮮兵士たちが手に松明を持ち落東江を渡り、米軍が囲まれてしまうシーンは読んでいて恐怖を感じる。 この本の著者・デイヴィッド・ハルパースタムは、アメリカが生んだ最も偉大なジャーナリストらしい。2007年に交通事故で亡くなり、この本が氏の最後の著書となった。本書にはやはりアメリカ人のジャーナリストだなあと思う文章もあり、日中戦争、太平洋戦争での日本人兵士の残酷さなど、その根拠に疑問を抱く部分もあった。例えば、アメリカ統治下の日本から韓国へ送り込まれた米兵士が、敗北し勝者の模倣に熱心な日本人と好意的ではない韓国人を比べる回想で、著者は「残酷きわまりない植民地的恐怖を他国民に押しつけた国民がひとたび戦争が終わると、大半のアメリカ人の目に犠牲国民よりもうんと好ましく映るとは、不公平きわまりなかった」と説明している。やはりそこまでの白人のジャーナリストだなあと思うのでした。第五部では、落東江まで攻め込んだ北朝鮮軍が撤退するところまで書かれている。とりあえず、ここで読者も一休み。続く第六部では「仁川上陸作戦」。第七部はいよいよ毛沢東が参戦してくる。 上巻目次(続き) 第四部 欧州優先か、アジア優先か 第12章 国務省の苦難 第13章 冷戦を決定づけた政策NSC68 第14章 遅咲きの大統領トルーマン 第15章 朝鮮半島と中国大陸のリンク 第16章 国民党政府の崩壊 第17章 誰が中国を失ったのか 第五部 詰めの一手になるか 北朝鮮軍、釜山へ 第18章 釜山橋頭堡攻防戦 (地図8:1950年8月31日─9月1日 洛東江突出部) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 4, 2010 12:17:10 AM
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