カテゴリ:●読書
「ブラックペアン1988」を、さらっと読み終わった。こういう物語は自分好み。内容が面白いので希望としてはページ数を今の倍にしてほしかった。今のように少ないページ数で脚本のような書き方はスピード感はあるけれど、小説なのだから描写を細かく文章で描いて読者の想像力を引き出して欲しいのだ。せっかくのアイデアも良いのにナンか短すぎてもったいないと思ったのでした。それに、ほとんどがセリフで進行するので、作者の目的は映画化やテレビドラマ化しやすいように脚本ぽく書いているんじゃないか?と疑いたくもなる。読み終わった時の、満足度がちょうど2時間ドラマくらいだからだ。確かに、毎回同じ病院内の話なので病院や手術室などの舞台描写がダブってしまい、しつこくなるかもしれない。でも、その描写を望む僕のような読者もいるんじゃないかな。マンガでも、バックの背景はチマチマと細かく描いているのに…。物語は、1988年バブル期という時代背景で、医師たちが製薬会社などから贅沢な接待の様子なども描かれているが、ここもさらっと書かれているので物足りない。映像化されたら、そういったバブル景気の街の様子を絵で見せるはずで、小説だからといってその描写を省いてしまうのはどうもいただけない。そういった点で、面白い内容なのにちょっと残念な小説だった。
十何年か前かな…テレビのニュースだと思うが、腹の中に手術器具が置き忘れていたという事故を聞いた覚えがある。ショッキングなニュースだったので覚えていたのだ。僕が覚えているのだから、「ああ、それなら知っている」と思い出す人もいるはずだ。その手術器具置忘れのことが「ブラックペアン1988」に書かれている。ペアンというのは止血などに使う鉗子のことで、文庫本の表紙にはペアンのイラストが描かれている。ちなみに、この作者の本はタイトルや内容に合わせて記号化したイラストが文中に必ず入っているので、それも楽しみの一つだ。例えば「ナイチンゲールの沈黙」は歌姫のイメージで「♪}、「夢見る黄金地球儀」ではそのまま地球儀がデザインされている。次は何が来るのか推理するのも、おもしろいかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 8, 2010 03:49:06 PM
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