カテゴリ:●読書
正月はのんびりと読書三昧の予定が、ペーパークラフト作りに夢中になってしまったので買い置きしていた本を読みことにした。この秋月達郎・著「海の翼 トルコ軍艦エルトゥールル号救難秘録」は、その一冊。この出来事は明治時代、紀州沖で使節団を乗せたトルコ軍艦の海難事故が起き、紀州大島の島民たちが総出で生存者を救出活動したというもの。この日本での恩を忘れずにトルコは現在でも歴史教科書に載せているらしく、あれから100年後のイラン・イラク戦争時には日本人救出の恩返しにつながったという話。この美談は動画サイトでも紹介されていて、意外と若者たちのほうが知っているかもしれない。自分もだから海難事故のことを知っていたのだ。この本を書店で見かけた時にも知っている話だからと思ったが、トルコ人救出の様子などを詳しく知りたくなり購入した。歴史というのは、ある事件をきっかけに国と国の関係が大きく変化する。それは月日が経っても、。また、この事故のように日本とトルコの意外な繋がりが見えてきて面白いものだ。 1985年イラン・イラク戦争時、サダム・フセインが航空機無差別撃墜宣言をした。日本の政府は邦人救出に動いたが、航空会社の労働組合の抗議により民間機は飛び立てず、また航空自衛隊も当時は行動ができなかった。テヘランに残っている日本の商社マンなどの家族たち邦人215名。フセインの撃墜宣言の時間が迫る中、トルコが残された日本人用に航空機を飛ばしてくれたのだった。当時、このトルコが救ってくれた事は新聞やテレビでも伝えていたニュースだ。そして、1999年トルコ北西部に大地震が起き死者17000人の大惨事になった。今度は日本が恩返しとしてトルコへ緊急援助、支援、無償資金協力、援助物資を送っている。この時、海上自衛隊は輸送艦「おおすみ」など3隻が仮設住宅を積んで横須賀基地からトルコへ向けて出港している。これらが自分がリアルタイムで知っている歴史の出来事。 本書では、僕がリアルタイムで知っている日本・トルコ間の出来事よりも時代を遡る。救出された軍艦エルトゥールル号の生存者たちは、秋山真之も乗っていた日本海軍の「金剛」「比叡」の2隻でトルコまで生存者を送り届けるが、イスタンブールを目前にロンドン条約の問題が発生。海峡の外国船の通航全面禁止だったからだ。ここでトルコ人たちは、日本の軍艦をイスタンブールへ迎えろと声をあげ、当時のオスマン帝国の皇帝は海峡を開放し、無事送り届けることができトルコの人々に歓迎された。教科書的に書けばこの程度の事しか書かないだろう。ここが教科書でしか歴史を知らない人の残念なところ。多くの日本人は、学校を卒業すると暗記で覚えた日本史のためか、自分たちの国の大切な歴史もさっさと忘れてしまう。歴史とは必ず多くの人間が絡んでくるもので、実はすごく人間くさいものなのだ。本書では、明治時代の貧しい極東の島国・日本の人々の生活が詳しく書かれている。トルコ人を本国へ帰らすために慰問、義捐金集めなど、親身になって協力・行動を起こす明治時代の人々の姿が描かれている。その後、日本が日露戦争で勝利した時もトルコ人は日本に感謝したそうだ。あちらもロシア南侵の危機だったからだ。この二つの事が、イラン・イラク戦争時に日本人用に特別機を飛ばしてくれた理由だったようだ。 このトルコの軍艦エルトゥールル号は遭難する前に横須賀の長浦に停泊している。地元としてはそれだけでも一歩歴史に入っていける。横須賀は軍港だからと言ってしまえばそれまでだけれど、何か歴史のロマンを感じなぁ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 19, 2011 09:31:25 PM
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