カテゴリ:●読書
ブルーバックスの「死因不明社会 Aiが拓く新しい医療」を読み終わった。ブルーバックスの新書を読むのは、何年ぶりのこと。何か難しい本を読んでいるなあと思った人がいたら、それはハズレ。著者が「バチスタの栄光」などの海堂尊さん。そのうえ、海堂ワールドでおなじみの厚生労働省官僚の白鳥と時風新報桜宮支社の女性記者・別宮のインタビュー形式で話しが進むのでとても面白い。では「死因不明社会」とはどういうことかと言えば、現在の日本の死亡時医学検索の遅れにより、死亡した原因が実は判明していないという話し。たとえば、健康な人がいきなり死亡した場合、病院にカルテは残っていなかったりする。すると医師が脈を診て、瞳孔が開いているか確かめて「何時何分、ご臨終です」という、よくドラマで見るあの場合、実は死因ははっきりとわかっていないらしいのだ。でもそれでは、死亡診断書を届けることができないので、多くは心不全ということになるらしい。つまりは年間100万人を越える死亡のほとんどが、体表を調べただけの検案だけなので死因は不明になっていたということらしい。刑事ドラマなどで、他殺と判断し遺体が司法解剖されるシーンを見かけることがある。また、面倒だから自殺と判断し、解剖はしなくていいだろう、場合によっては予算の都合で「まあ、自殺だろう…」といいかげんなセルフも聞く。どうやら、これも司法解剖の予算は年間5000体分と決められている理由から出てきたセリフのようだ。こういった裏事情を知っておくと、サスペンス系のドラマも面白く見れるかもしれない。 さて、本書「死因不明社会 Aiが拓く新しい医療」は、海堂さんが小説で常に提案している「Ai」の登場となる。Ai(エー・アイ)とは、オートプシー・イメージングの略で、CT、MRI、エコーなどを使った死体の画像診断のこと。これを導入することで、当然ながら死因が今までよりも正しく判明すると提案している。また、親による子供の虐待死などの犯罪も防げることにもなるだろうと言っている。なお、2007年には実際に「Aiセンター」が千葉大学医学部に設立されたようだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 12, 2011 01:35:31 AM
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