秋の初めのカフェにて
私は今、カフェで、
お客さんに宛てたお手紙を書いています。
店内では、『第三の男(ヱビスビールのテーマソングです)』が流れていて、
ふと、
あぁそう言えば恵比寿駅で、ともあきに『もう連絡出来ない』って
電話もらったなぁ…なんて思ってた。
昔のことみたいだなぁって思う。
ひとつ、衝撃を受けると、時間の流れに疎くなる。
『第三の男』の、独特な、
半音上がったり下がったりを巧みに使ったメロディが、妙に耳に残る。
この曲を聴くと、ピアノの鍵盤を叩いてみたくなる。
本当に半音階ばかりで構成されている曲なのか、自分で叩いて確かめたくなる。
空が、蒼い。
『えりちゃんショック』のあまりの衝撃に、
なんだか時間の感覚を、全部奪われた気にさえなる。
ねー、カミサマ。
今年1年が、重いよ、カミサマ。
時間の流れが、遅いよ……カミサマ。
あまりにも、せつないことが多過ぎて、
一体、私の身体のどこに、涙を蓄えてるのかと思うくらい、涙が出るよ。
ナニヲ ドウシタライイノカナンテ
ワカラナイ
えりちゃんが。
壊れちゃったりしていないかどうかだけが、気掛かり。
変な噂もあった。
えりちゃんとユニットを組んでたサユリさんが、
えりちゃんをあの世界に売ったとか、
えりちゃんがデビューしたときに、
『私と同じ戦略のジャンルはいらない!』と、みなちゃんがいきまいたとか……
知れば知るほど、
気にすれば気にするほどドロドロしてくる。
もし本当にサユリさんが、えりちゃんをあの世界に売ったなら、
人なんて………
でも、サユリさんはそんな人じゃないと思う。
ただ、えりちゃんの進む道だから、何も言わなかったのかなって……思う。
私がユニット組んでた人ならやりかねないけど、
サユリさんがそんなことするとは思えない。
普通に生きるって、幸せ。
きっと、退屈なくらいが、ちょうどいい濃度の幸せ。
カフェの窓から、青空を見て、そう思った。
手紙の、続きを、書こう………………。