カテゴリ:街角にて
今月1日(木)こんな事がありました。 皆さん写真のオレンジ色の物体を1度は目にした事があると思います。高さは1mぐらい素材は軟質プラスチックで中空のバリケードです。設置場所は都道の交差点に面した歩道内です。 私の住む町には坂道が多く、加速のついた自転車が、信号の変わり目などに無理に交差点を横断したりしないよう、歩行者保護のために設置されています。 その日はとても暑い日でした。私は退社後、帰宅途中にその交差点の歩道で信号待ちをしていました。私の背後で6才ぐらいの女の子と3才ぐらいの男の子が、このバリケードを折り曲げて遊び始めました。太陽で温められたバリケードは幼児が体重をかけると折れ曲がり、再び、直立します。子供達は「キャッキャッ」とそれを喜びながら繰り返しています。 私が危なそうだから注意しようかなと思い始め、そばにいた母親が「もう、やめなさい」と言ったか言わないか位のタイミングでした。 女の子が体重をかけて折り曲げたバリケードが勢い良く直立し、女の子の顔面に先端に当りました。女の子はボクサーのように道路に崩れ落ち、母親の呼びかけに反応しません。 「キャー、誰か、誰か救急車、救急車呼んで下さい」母親が絶叫しました。 私はすぐそばにいましたので「わかりました」と言って、携帯で救急車を呼ぼうとしましたら、女の子が意識を取り戻し、火のついたように泣き始めました。見ると目の周りが赤く腫れ始めています。 お母さんと私で「お医者さんに見てもらおう」となだめましたが、パニックを起こしたのか「ヤダヤダ、ヤダー」と泣きわめくばかりでらちがあきません。母親は娘にかかりっきりです。 母娘のそばを見ると、男の子がしょんぼりとしています。 私はその男の子が可哀想になり「おじさんと一緒にお買い物したもの、拾うの手伝ってくれる?」と言うとこくんとうなずいて、道路に散乱した物をその子と拾ってベビーカーに乗せました。 紙オムツ、ティッシュペーパー、つぶれたコロッケ、コアラのマーチ…。 女の子がどうしても病院へ行きたくない、と泣きながら母親にしがみついたままなので、母親もとりあえず迎えに来てもらうため、どこかへ電話し始めました。私はますます落ち込んでしまった男の子をなぐさめてました。 その時、救急車を呼ぶ必要性があるかないか、ケガや病気の症状を伝えるとアドバイスをしてくれる施設の事を思い出し、うろ覚えの番号に電話をしたのですが、何度かけても通じません。 そのうち連絡のついたらしい母親から「本当にどうもありがとうございました。あとはこちらで何とかしますので」と何度も頭を下げられ「よろしければ、手伝いますよ」という私の申し出も婉曲(えんきょく)に断られたので、その場を後にしました。 文章にすると長いですが、10分弱ぐらいの出来事だったと思います。この間に何人もの人が通り過ぎ、立ち止まって見ていた人もいましたが、誰も私達に関わろうとしませんでした。母親の絶叫はかなりの大声で、何人もの人が聞いた筈なのにです。 この日は関東大震災から88年、東日本大震災から半年弱、もう少し助け合いの精神がないといつか本当に痛い目にあうような気がしました。 蛇足ながら付け加えますと、私が電話しようとしてつながらなかったのは、東京消防庁の「救急相談センター」で電話番号は#7119です。早速、携帯に登録しました。 *という文章を9月5日(月)に書き終え、何かウェブブラウザを操作したら、文章が消えてしまいました。ようやく公開できてホッとしてます* 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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