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愛と夢を結ぶことば☆Lillian

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魔法の木マスター@ ご無沙汰でした♪ 先日はお気遣い戴きありがとうございまし…
Lillian@ Re:こんにちは。(04/04) 魔法の木マスターさん >ご無沙汰でした…

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2006.01.31
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カテゴリ:Stories


「もう、ちゃんと話す。」


そう言ってあなたは消えた。

これから、彼は4年も付き合った彼女と別れ話をしに行く。


「大丈夫?途中まで一緒に行く?」

「大丈夫。きみのせいではないし。」




ずっと胸騒ぎがとまらない。

彼女と会ったら、もう戻って来ないかもしれない・・・。



彼女のところに戻ってもいいと思いながらも、

彼を束縛したいというワガママな私がいる。



さっきから、時計ばかりにチラチラと目をやっているのに情けなくなる・・・。


思い切って彼の携帯に電話を入れてるが、

電話の向こうには、何の言葉もない・・・。




黙って携帯のボタンを押して切る。


焦り・・・嫉妬・・・寛容になろうとも考えてみるが、

胸騒ぎはとまらない。



携帯が鳴る・・・彼からの着メロだ・・・。


「今、駅の椅子に座っている。 そっとしておいて欲しいんだ・・・。」

彼は力が抜けた低い声で答えてから切った。



駅の雑踏のなか、彼が独りでいる・・・。


そう思った瞬間。

あそこの駅だわ!というある確信が脳裏を過ぎる・・・。



もうすぐ私は式を挙げる、この目の前の男性と。

結婚式場の教会。

神父さんとの打ち合わせにこの人といるのが現実なのに。


つま先から頭のてっぺんまで愛撫を重ねた彼は別の場所にいて、

雑踏の孤独のなかにいる。


「ごめんなさい。私、いかなきゃいけないところがあるの。」

目の前の彼の左の眉がピクリと動いた。

言葉はない・・・。


この男性に買って貰ったバッグを荒々しく抱え、

黒のパンプスのヒールに転げそうになりながらもただ走り続ける私がいる。




これでいいの?

これで??



人の流れなど気にしてはいられない。

他人の視線なんてどうでもいい。


駅のエスカレーターもまどろこっしい・・・。

カツカツとエスカレーターを駆け上っていく。


どこ?どこ?

どこの椅子??


プラットフォームの後ろを振り返ると、

うな垂れて椅子に座っている彼の後ろ姿が見えた。


心なしか・・・彼が泣いているような気がした。



今、彼を離したくない・・・絶対に!


背中合わせの駅の反対側の椅子から彼の背中をそっと抱く。

身じろぎもしない彼。


「来てくれたんだね。」うな垂れたまま彼が言う。

「ええ。」

「いいのこれで?」


「いいのよ。決めたから私も。」

「黙って暫くこのまま動かないで・・・。」



「それに、あなた傘を持っていかなかったわ。」と微笑む。


「顔をあげなくていいから、そのままで聞いて・・・。」





「これからは私があなたの傘になる・・・。」





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Last updated  2006.01.31 09:22:41
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