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テーマ:山登りは楽しい(12262)
カテゴリ:山,あるいはGRD@山
オコジョを見てしまったのが,いけなかったのかもしれない。
-------- ずいぶん前に 「メディテイション」というのをかじったことがある。 言い換えれば「自己暗示」。 薄暗いところでやわらかく目を閉じて, 「手が温かい…」と,頭の中で唱える(というか,念じる)と, 実際に手の温度が上がってくる。 これをほんの数分やるだけで, 頭も身体もかなりリフレッシュできる。 ところが,ある意味トランス状態に入っているので, 暗示にかかりすぎると,いざ抜け出そうとしたときに 動悸が激しくなったりして,困ったことになる。 -------- 登山にも,似たようなところがあると思う。 山から帰ってくるとしばらくは, 魂を山に置き去りにしてきたような, あるいは山の何者かにとりつかれたような状態になって, 使いものにならなくなるのが常である。 うまいこと抜け出さないと,社会復帰ができない。 抜け出す方法のひとつは,新田次郎を読むこと。 どういうわけかうまい具合に気持ちを鎮めてくれる。 「孤高の人」が一番の好みだが,短編で気に入っているのが, 新潮文庫「蒼氷・神々の岩壁」所収の「怪獣」。 穂高への登山を反芻できるのがいいのかもしれない。 主役は「おうさき」である。 神の使いであり,人の心の隙に入り込むこわい「怪獣」であるが, どうやらオコジョのことらしい。 そのオコジョに,この間の山行中,初めてお目にかかった。 思ったより小さく,思ったよりすばしこかった。 ほんの数秒のあいだに,伸ばした首をあちこちへ向けたかと思うと, 手にしたカメラを向ける間もなく,あっという間に岩陰へ消えてしまった。 オコジョに出会ったら,すかさず身を清め,山の神様に祈りを捧げて, とっとと山を下りなければならない―それが昔からの山のしきたりなのだそうな。 新田次郎は案外しれっと嘘を書くから,話半分で聞くとしても, かわいいとしか見えないオコジョに,そういう類の言い伝えがあるとしたら不思議なことだ。 だが今回,いつになくリハビリがうまくいかないのは, もしかしたらオコジョを見てしまったせいかもしれない… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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