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林艮酔記 

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2006年10月16日
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カテゴリ:山,あるいはGRD@山
オコジョを見てしまったのが,いけなかったのかもしれない。

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ずいぶん前に
「メディテイション」というのをかじったことがある。
言い換えれば「自己暗示」。
薄暗いところでやわらかく目を閉じて,
「手が温かい…」と,頭の中で唱える(というか,念じる)と,
実際に手の温度が上がってくる。
これをほんの数分やるだけで,
頭も身体もかなりリフレッシュできる。

ところが,ある意味トランス状態に入っているので,
暗示にかかりすぎると,いざ抜け出そうとしたときに
動悸が激しくなったりして,困ったことになる。

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登山にも,似たようなところがあると思う。

山から帰ってくるとしばらくは,
魂を山に置き去りにしてきたような,
あるいは山の何者かにとりつかれたような状態になって,
使いものにならなくなるのが常である。
うまいこと抜け出さないと,社会復帰ができない。

抜け出す方法のひとつは,新田次郎を読むこと。

どういうわけかうまい具合に気持ちを鎮めてくれる。
「孤高の人」が一番の好みだが,短編で気に入っているのが,
新潮文庫「蒼氷・神々の岩壁」所収の「怪獣」。
穂高への登山を反芻できるのがいいのかもしれない。

主役は「おうさき」である。
神の使いであり,人の心の隙に入り込むこわい「怪獣」であるが,
どうやらオコジョのことらしい。

そのオコジョに,この間の山行中,初めてお目にかかった。
思ったより小さく,思ったよりすばしこかった。
ほんの数秒のあいだに,伸ばした首をあちこちへ向けたかと思うと,
手にしたカメラを向ける間もなく,あっという間に岩陰へ消えてしまった。

オコジョに出会ったら,すかさず身を清め,山の神様に祈りを捧げて,
とっとと山を下りなければならない―それが昔からの山のしきたりなのだそうな。
新田次郎は案外しれっと嘘を書くから,話半分で聞くとしても,
かわいいとしか見えないオコジョに,そういう類の言い伝えがあるとしたら不思議なことだ。

だが今回,いつになくリハビリがうまくいかないのは,
もしかしたらオコジョを見てしまったせいかもしれない…





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Last updated  2006年10月17日 02時38分37秒
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