林艮酔記　

「久しぶりですね。もうお見えにならないかと思ってましたよ。前にいらしたのはいつでしたかねぇ，ラグランジュさん」
「４月ですから，８ヶ月ぶりです。でも先生，ラグランジュじゃなくて，ドラグランジュなんですけど…」
「おや，そうでしたかね。ボルドーのご出身だとばかり思っていましたが，もしかして関西ですか？」
「いえ，ブルゴーニュです。前にも申し上げたと思うんですが」
「（無視して）で，どうなさいました？」
「最近，上司からの評価が低くなりまして，自分では気づかないんですが，どこか悪いところがあるんじゃないかと…」
「ふむ，そうですか。それでは診てみましょう。瓶を脱いでください」
「瓶は脱げないんですけど…」
「しかたないなあ，頭を切開しましょう。はい，頭を出して。ほれ，じっとして！　じたばたしない！　あきらめなさい！　うりゃ！　とぁ！」　……


二度と飲めないかと思っていた，ベルナール・ドラグランジュ・ボーヌ90。
去年はとっても気に入って，たくさん飲んだ。

その同じボーヌ90が，
なんと1,800円という破格値で再登場した。
欣喜雀躍，即刻注文したのはいうまでもない。

ただ，あまりに安いとかえって心配になる。
今日届いたので，落ち着くまもなく早速１本開けてみる。

コルクの外側は，相変わらず黒カビがみっしり。

香りは，傷んではいない。
ただ，こんなに弱かったっけ。

グラスを掌であたためてみると，
モワンとした熟成の香りが，少し立ち上がってくる。

温度が低いか。
今日は寒いからねぇ…

さて味はというと，こちらも傷んでる様子はない。
ただ，こんなに薄かったかなぁ…

う～ん，微妙…
落ち着いてから，どうなるか。
ま，仮にこのままでも十分飲めるから，いいか。

----------------
ＡＯＣ：ボーヌ
生産者：ベルナール・ドラグランジュ
生産地：ボーヌ／コート・ド・ボーヌ／ブルゴーニュ
生産年：1990
ぶどう：ピノ・ノワール
種類：赤
----------------


　食べたのは，あさり鍋。

　あさり，椎茸，豆腐，長葱で味噌味。
　…単なる味噌汁か。


　仕上げは，
　味噌煮込みうどん（半熟卵入り）で。