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カテゴリ:少女・レディースコミック
「かげきしょうじょ!!」を読んで面白かったので他の作品も読んでみようと
みつけたこの作品。 ん??これ以前、話題になった作品だったよな・・・っと一気読み。 吉原というか遊郭関係のお話は昔から興味を持っておりまして、でもなんだか あまり流行に乗るようなものは読む気がしなくて・・・ この作品に関しては触らなかったんですよね。 読んでみたら・・・面白かったです! 【内容情報】(「BOOK」データベースより) どんな男に抱かれても、心が疼いたことはない。 誰かに惚れる弱さなど、とっくに捨てた筈だった。 あの日、あんたに逢うまではー初めて愛した男の前で客に抱かれる朝霧、思い 人を胸に初見世の夜を過ごす茜、弟へ禁忌の恋心を秘める霧里、美貌を持てあま し姉女郎に欲情する緑… 儚く残酷な宿命の中で、自分の道に花咲かせ散っていった遊女たち。 江戸末期の新吉原を舞台に綴られる、官能純愛絵巻。R-18文学賞受賞作。 最初は顔の見分けが付かなくて、誰が誰やら???って感じではありましたが 読み返しながら読み進めるうちにしっかり見分けがつくようになりました。 これはさっと読んでしまうのではなくて、じっくり味わう作品ですね。 六つの章の構成で複数の遊女がメインを入れ替わりながら時間軸も前後しながら ストーリーが進んでいくのでちょっとわかりにくいですが、人物の相関関係が わかるとグッと深みが増してきます。 そして最後まで読み終えると、ああこの作品は山田屋さんのお話だったわね っと改めて思うわけですわ。 各遊女にスポットを当てながらも「山田屋」という小見世で連々と生きてきた 遊女たちの繋がりが描かれているのだなぁと。 姉女郎に育てられて一人前になっていくも、みんなそれぞれに哀しい物語が あって、痛みを伴うやりきれなさもあるし、逞しく生き抜く強かさもあるし、 あの時代を新吉原で生きた女性たちの生き様に思いを馳せずにはいられません。 花宵道中 主人公は朝霧。 朝霧の姉女郎は京都島原の大見世を追い出された霧里。 いきなりたくさんの登場人物が出てきますが、後で繋がってくるんですよね。 朝霧は生まれも育ちも吉原で、母は最下層の長屋女郎。 虐待されて育って、たぶん煙草のキセルとかで付けられたのか、その痕かな?? 熱を帯びると身体が赤く染まるよう。 母親が死におはぐろどぶに捨てられたところを山田屋の女将が拾い遊女に。 通常なら朝霧も母親と同じ状況で生きていくことしかできなかったはずなのに 例え遊女の道しかなかったとしても小見世に入ることができて幸運でしたよね。 女将に事情があったことが後にわかりますが。 朝霧は顔も地味だし小柄で器量で客をとるタイプではないけれど、肌に花が咲く のが珍しがられて人気があるよう。 芸事は上手かったことと地味な分、お客にしたら落ち着くのも人気の理由かなと。 客には抱かれても男に惚れることのなかった朝霧がある日、半次郎と出会い突然 恋に落ちてしまうのですよね。 なんて呆気ないと思うけれど、霧里の死で遊女の儚さを感じたでしょうし、誰か に惚れる弱さは捨てたと思ってはいても決して心が満たされていたわけではない から、諦めた人生であっても何か切っ掛けがあれば心が傾いてしまうものなんで しょう。 ただ、それは遊女にとっては辛いだけ。 間夫を作って本気で恋に堕ちてしまえば、その先にあるのは地獄。 みんな痛いほどわかっているのに、それでも止めることができない。 もちろん、男に溺れず強かに生きる遊女もいるでしょうけど。 半次郎との出会いは朝霧の草履の鼻緒が半次郎の染めた生地だったことから。 遊女である朝霧にとって一目みただけの相手なら例え、ひとめぼれしようと恋に 堕ちることまではいかなかったでしょうに、半次郎の方も朝霧に関心を持ってしま ったんですよね。 もう会うことはないかもと思っていたのにまた出会うことが出来て簪を直す約束を する二人。 ああ、良いムード。 どうかこのまま幸せになれますよう・・・って思っていたのにやはり無情。 二人は偶然、吉田屋の座敷で対面。 しかも半次郎の目の前で馴染みの客である吉田屋に抱かれることになるとは衝撃。 この吉田屋ってのがまたね・・・ 妹女郎の八津も嫌がってましたが、ロクでもない下品な奴です。 酒癖が悪いっていうのが後の伏線でした。 簪の約束はしたけれどもう半次郎は来ないかもしれないと思っていたのにちゃんと やって来て。 それなのに半次郎はすぐに帰ってしまうという・・・ 切ない あの吉田屋の件でつれなくするような男ならどうせ辛いだけだから、このまま何も なく別れた方が傷口が浅くてすむかも・・・ 八津が聞いた懇意にしてる遊女ってのは嘘だろうけど、ここで引き返してこない男 なら諦めた方がいいっと思っていたら、戻ってくるのですよね。 半次郎は自分の惚れた女が他の男に抱かれているのを見るのは忍びなかったような ことを朝霧には言ってましたが、第三部を読むと別の感情もあったのだと後から わかってびっくり。 朝霧は半次郎に自分の姉女郎である霧里が京から来たことを話します。 朝霧から教わった内八文字で道中がしたかったことも。 この時は幸せが続くといいなと思って読んでいただけですが、これが実はこの後の 展開に大きく関わってくるとは・・・でしたわ。 半次郎はお金を貯めて朝霧に会いにくるか、身請けするだけの大金を稼ぐために しばらくやってこないかもと思っていたら、なんと半次郎が吉田屋を殺害。 え~~~!? いくら自分が惚れた女を無理矢理抱いてるとはいえ、朝霧は遊女で仕事なんだし やり過ぎじゃないの??? なんでそこまで???っと思ったら深い理由があったんですよね。 そりゃ仕方がないと思うだけの・・・ この時はわからずでしたけど。 江戸を追われた半次郎はその後姿を見せず。 朝霧も年季明けの身請けの話が上がって、その人と一緒になるつもりでいたのに ここで半次郎から連絡が。 うわぁ・・・ 安定の生活が保障されたのに、これは苦難の道を選んじゃうパターン(><) 朝霧は半次郎に会いに行くと、なんと半次郎は朝霧に道中をさせる支度をして きてて。 え?? 仕掛だけでなく、櫛や高下駄まで持ってきてるとは!ですよね。 しかも道中のことに詳しいし・・・ まさか花魁道中をさせるために京で支度してくるとは思いもしませんでしたよ。 そんなお金があったら少しでも身請けの足しにしたら良いのにと思いましたが、 金額が違い過ぎるんでしょうかね。 この後、仕掛とかどうするつもりだったんでしょうかね。 二人は足抜けを決意し結ばれますが、半次郎を追ってきた者たちに見つかり捕ま ってしまうのですよね。 朝霧はお仕置き。 とはいえ、朝霧はしばらくすれば元の生活に戻れるでしょう。 が、人を殺めてる半次郎はなんと処刑。 八津は二人の仲を知らないから、馴染みの客を殺した犯人が処刑されたと聞けば お仕置き中の朝霧も気が晴れるだろうと・・・ 遺髪を持って喜び勇んで半次郎の死を告げにやってきて・・・ ここは残酷・・・痛ましくて・・・絶望しかありません 八津も良かれと思ってのことでしたが、朝霧の気持ちはぷっつり。 朝霧は母が投げ捨てられたおはぐろどぶに身を投げてしまうのですよね。 辛いです。 吉原の遊女は苛酷な状況で生きてるとはいえ、小見世の遊女なら年季が明ければ また新しい生活をすることも可能なのに・・・ 半次郎のいない人生はもう考えられないようになってしまっていたんでしょうね。 この時代の吉原では珍しいことではないのでしょうが、この結末はやりきれない ですよね。 二人で幸せになって欲しかったですけど・・・ 不幸が重なってしまいました。 朝霧の話は遊女の哀れな人生ということで完結していますが、その後の話とまた 密接に繋がっているので他を読むことでよりこの話の世界が広がり深まります。 薄羽蜉蝣感想へ続く。 原作の方がもう少し遊女たちの心情とか背景とか詳しく描かれているようですので そちらも読んでみたいなと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2020年02月22日 16時43分30秒
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