テーマ:イギリス大好き!(509)
カテゴリ:☆英国びっくり体験記!
賢明な読者ならもうお気づきのことと思いますが、筆者は郵便ポストが大好きです。
イギリス在住時代、町を歩いていて、ふと懐かしい気分にさせてくれたのが郵便ポストでした。 上の写真は筆者が在住していた家の近所のポストですが、昔の日本のような可愛らしいデザインのポストは「癒し系」といってもいいかもしれません。 ところでこのポスト、よく見ると「εVIIR」と、くねくねした字でデザインされているのがお分かりでしょうか。 これは、「Edward VII, Rex」(エドワード7世王)を表していて、すなわちエドワード7世時代(1901~1910年)にこのポストが建てられたことを意味しているのです。 郵便ポストにまでその名が刻まれるとは、さすが大英帝国の王様だけあります。 「おいら、高速道路の、星~♪」などと洋楽を直訳で歌うだけの、どこかの国のチョビ髭の王様とは威厳が違います。 ちなみに写真のロンドン西部・イーリング(Ealing)界隈は19世紀末に鉄道が開通したころから開発されたニュータウンなので、ちょうど町が出来たころと重なります。 下の写真はやはりロンドン西部のアクトン(Acton)近くで撮ったものですが、こちらには「GR」と記されているので、少し新しいジョージ5世の時代(1910~ 1936年)であることが分かります。 下のポストはさらに新しいもので、「EIIR」とあることからエリザベス2世時代(1952年~ )に出来た最新式です。 他にも、都心に行くとヴィクトリア時代(1837~1901年)の「VR」もよく見かけます(写真はロンドン西部のシェファーズブッシュ《Shepherd's Bush》近く)。 驚くべきことにこの150年以上の間、円柱型の郵便箱自体のデザインはまったくと言っていいほど変わりません。 こんなところにも古いものを大切にするイギリス人の心意気が感じられます。 ところで、このポストの刻印、一体何パターンあるのだろうと思い調べてみると、ヴィクトリア女王以来、イギリスには以下の6人の王・女王が登場しています。 ●ヴィクトリア(Victoria)(1837年 ~ 1901年) ●エドワード7世(Edward VII)(1901年 ~ 1910年) ●ジョージ5世(George V)(1910年 ~ 1936年) ●エドワード8世(Edward VIII)(1936年) ●ジョージ6世(George VI)(1936年~1952年) ●エリザベス2世(Elizabeth II)(1952年~ ) そして、それぞれの時代に作られたポストには、「VR」「EVIIR」「GR」「EVIIIR」「GVIR」「EIIR」と刻印がされているのです。 ところで、上の年表を改めてよく眺めてみると、ひとつ面白いことに気づきませんか? さあ、よ~く考えてみてください! ・・・。 ・・・残念ながら誰も考えてはくれなかったようです。 残念ですが、実はエドワード8世だけ、在位期間が約10ヶ月と、他の人より極端に短いのです。 なぜ彼だけこんなに短いのか、これについて書き始めると小林幸子の芸能歴のように長くなってしまうので割愛しますが、このわずか10ヶ月の間に建てられたポストは極めて少ないはずです。 ていうか、そもそも存在するのでしょうか。 スコッツマン・コムによれば、この10ヶ月間に製造されたポストが実は161個ほどあるそうです。 そして、ヘンドン・ディストリクト建築協会が行った調査によれば、ロンドンに今なお2つ現存することが確認されているとか。 ちなみに場所は、どちらもロンドン北部のヘンドン(Hendon)とイーストフィンチリー(East Finchley)です。 また、未確認ながらロンドン北東部のコックフォスター(Cockfoster)と北部のエンフィールド(Enfield)からも目撃情報が寄せられている模様です。 いずれにせよ、相当のレアものであることだけは間違いないようです。 そこで、ロンドンに限らずイギリス在住のみなさん! もしあなたの街で貴重な「EVIIIR」のポストを発見したら、ぜひ写真に撮ってお寄せください! ・・・まあ、そんなこと言われても誰もお寄せしないとは思いますが。 ちなみにこれは常識かもしれませんが、近代郵便制度はヴィクトリア時代にはじまった物なので、当然のことながらそれ以前の王様の刻印の入ったポストは存在しません。 したがって、それ以前のたとえばエリザベス1世のポストはないかなー、なんてもし探しているヤツがいたら、そいつは間違いなくただのアホです。 したがって、筆者はアホです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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