住宅価格上昇率「4.5%」の脅威
以前にも取り上げたイギリスの地価高騰についてですが、先週政府により発表された最新の数字はさらに驚くべきものでした。平均住宅価格の上昇率「4.5%」、ていうと「んー、まあまあ高いかな」と思われるかも知れませんが、これが「年率」でなくて、「月率」(こんな言葉あるのかどうか知らないけど)であるところが今のイギリスのすごいところ。つまり年率に換算すると約54.0%。単純計算で、毎日0.1%以上上昇しているのですよ。5000万円の家として、一日5万円以上・・・。僕はいったいなんという世界に生きているのでしょう。これは前月までの2%台の数字から一気のジャンプアップで、「金利引き上げが逆効果になっているのではないか」、とか「むしろ住宅ブームを煽っているのではないか」、という意見も聞かれるようになりました。ニュースや新聞でも今の「急騰」が「暴落」につながるのではないか、という論調がにわかに増えています。以前も書きましたが、イギリスはここ5年間の地価上昇率が約20%前後で推移していて、すでに5年前の3倍近い水準にまで達しています。さらにその上での今回の数字ですから、さすがにここのところの動きは急すぎる、という意見が大きくなるのも当然といえます。そんな中、最近の僕のマイブーム(!?)、ブラウン経済相が人気ニュース番組「おはようテレビ」に出演。インタビューに答え、以下のように言っていました。「地価暴落の危機? 何をおっしゃいますか。私はただ、リスクがある、と申し上げているのですよ。テロのリスク、戦争のリスク、いろいろなリスクがあるじゃあ御座いませんか。そういったリスクに比べればたいしたことはありませんよ」と、やや苦しい弁明に追われていました。ブレア政権もかなりの長期政権になってきましたが、イラク政策、EU憲法などの外交政策に加えて、大学授業料値上げ問題など、ここのところ国内政策でも苦境に立たされています。現在は失業率がわずか2.8%など足元の経済は好調ですが、地価問題の舵取りを間違えると大ピンチに陥る可能性もありそうな雲行き、といったところでしょうか。