元気でね・・・
Dear Honey, 楽しかった冬休みが終わり、また再び離れ離れになる日が近づいてきた。前の日から私の胸の中はすでに寂しさで一杯だった。”ねぇ、honey. 明日、空港まで私を見送りに行くの?””もちろん行くよ。なんで?””もしも、私がこないでって言ったら怒る?””いや、怒りはしないけど、でも、行くよ。なんかあるの?””だって、もしもhoney が私を見送りに来ると、私、もっと寂しくなってアメリカに帰ったあと、また独りでやっていけるかどうか不安なんだもん。””大丈夫だよ。お前ならやっていけるから・・・。心配しなくていいよ。”そんな会話を交わしながら、眠りについたものの、部屋の明かりを消した後も、彼の背中で涙が止まらない。声を殺して彼に気付かれないようにしていたものの、彼はそんな私にとっくに気付いていたようで、何も言わずに私の背中を何度も何度もさすってくれた。そして次の朝、私はもう一度彼に聞いた。”ねぇ、honey. 本当に私を見送りに空港まで一緒に来るの?””行くから早く用意しろよ。”そう言って、彼は台所へ行き、パンケーキとコーヒーを私のために用意してくれた。”ほら、出来たぞ。パンケーキ、食べにこいよ。早くしないとさめてしまうぞ。””はぁ~い。今行くから・・・。”彼のパンケーキは私の大好物で、日曜の朝はいつも彼のパンケーキで1日が始まる。だから帰る前の日にはまた作ってやると彼とずっと前から約束をしていたのだ。そのパンケーキはいつもよりも特大で、ふわふわしていて美味しかった。コーヒーも、彼好みの豆のひき具合で、文句なしの味だった。そのパンケーキを口にほおばった瞬間、目から大粒の涙がぽろぽろとまたこぼれ始めた。泣いちゃいけないと分かっていても、彼のパンケーキの味が私を更に寂しくさせた。”早く食べないと、パンケーキ、さめてしまうぞ。さめたらうまくなくなるぞ, baby.”彼は私の横に腰掛け、私をギュッと抱きしめながら、私の髪をそっとかき上げ、とめどなく流れる涙を何度も何度も指でやさしくぬぐった。そうしているうちに朝食が終わり、身支度が済み、空港へと向かった。空港へ着くと、チェックインを済まし、手荷物検査も早々と済ませた。だが、問題はこの残された時間・・・。この時間が長ければ長いほど、さよならが言えなくなる自分がいた。”もういいよ, honey. あとは独りで大丈夫だから帰っていいよ。明るいうちに帰ったほうがいいよ。雪が降るかもしれないから・・・。””大丈夫だよ。最後まで一緒にいるよ, baby.””いいよ、私なら・・・。本当に大丈夫だから, honey.””しぃ~~~。”そう言って彼は、私の会話を止め、最後の最後まで、私を抱きしめながらずっと一緒にいてくれた。いろいろな話をしながらかれこれ一時間以上もそうしていたはずだった、時間が経つのはとても早く、別れの時を告げるかのように、電光掲示板がの案内表示が変わった。”よし、時間だ。乗り遅れたらいけないからな、お前ももう行ったほうがいいな。お前と一緒に冬休みを過ごせて俺も楽しかったよ。ありがとう, beby. また帰ってこいな。いつでも待ってるから。”そう言って彼は私のほうにキスをした。でも泣かないように、泣いちゃだめだって自分に言い聞かせながら、一生懸命会話を繋いだ。”私も楽しかったよ。ありがとう, honey. 寒くなるから気をつけてね。風邪を引かないようにね。”私は、行かなければ行けないのは分かっていたけれど、どうしても手が離れない、いや、離せない。このままその手を離さないでいて欲しかった。そう思っていた瞬間、彼はその手をぐっと彼の方に再び引き寄せた。”I love you, baby. I do love you, beloved. I miss you so much, baby.”何度も何度もそう繰り返しながら、私をギュッと抱きしめ、キスをしてくれた。そして最後に私の頬を両手で包み、じっと私の目を見て、”大丈夫だから, baby。お前なら俺が着いていなくても、つらい事も苦しい事も乗り越えられるから・・・。でも、無理はすんなよ。いいか、それだけは約束だぞ。”そう言って彼は私の瞳の奥をしばらく見つめていた。その瞬間、私の目からは今まで我慢をしていた大粒の涙がぽろぽろとこぼれ始めた。そんな私を彼は最後にもう一度だまって強くギュッと抱きしめてくれた。そして、私の背中を二度ほどポンポンとたたき、私の向きを変えて背中を軽く押した。私は、一度立ち止まって、振り向きざまになんとか、元気でねって言えたものの、もう涙で彼の姿はよく見えなかった。何とか後ろ髪惹かれる思いを断ち切るようにして、歩き始めた。そして、検査場を通過し、ゲートへ向かう途中に、上のほうを見上げると、彼の姿があった。私の姿が見えなくなるまで彼はずっと私に手を振り続け、キスを送ってくれた。寂しさのあまりに足が前へ進まなくなると、彼が行けとゲートの方向を指差した。それでも足が進まなくなり、しばらく彼のほうをずっと見ていた私・・・。戻れるものなら今すぐ彼の所へ戻りたいと何度思ったことか・・・。私は後ろを振り向きながら、彼が見えなくなるまでゲートの方へと心を鬼にして歩き続けた。何とか彼を振り切って歩いて行ったものの、ロビーで搭乗時間を待っている間も、飛行機が離陸する時も、私の涙は止まることはなかった。元気でね。またすぐに会えるよね。Love and miss you,