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さて、だんながキラキラと生き生きと輝きながらケビンのお店でエスタージュを始めた頃、私もちょっと真剣に考えていたことがあった。 -もし、だんなに「僕はレストランの仕事に戻るから君も明日から働いてくれ」と頼まれたら。 私はどんな仕事に就くのだろう? 明日から、というのなら、多分レストランのウェートレスが一番早く見つけられるだろう。スーパーのレジのおばちゃんだって、できるだろう。でも、もし、彼にも時間的な余裕があって、私にも選択権があるというのなら、どんな職種に就きたいのだろう。。。? そんな時だった。 ガストンが末期がんで最期の1ヶ月半を一緒に過ごさせてくれるために大活躍した大河ドラマ「新撰組!」(↓このドラマのおかげで今やすっかり明治維新ファン。と、オダジョーファン。その話はまた今度)
のビデオを貸してくれた、ピチピチの日本男児Nさんが子犬を飼いたい、と言い出した。このピチピチ日本男児Nさんと出会ったのはキックボクシングを通じてだったが、今では道場以外の場でも親しくしていただいている。ちなみに、この「ピチピチの日本男児」と「日本語」で言ったのは、何を隠そう、うちの旦那なのだ。Nさんと初めて会った時に受けた印象から出てきた言葉で、しかもそれは、Nさんにピッタリ当てはまっていた。Nさんは子供の頃から極真空手の内弟子だったこともあり、今時では珍しいんじゃないかと思うくらい真っ直ぐで、お辞儀をするにも斜め45度ピッタリ、両手は太ももにピッタリ、呼べば「おすっ!」と返事をするような、そんな印象を与える人なのだ。 (極真を極める大山さん↓) さて、そんな彼から相談を受け、私は大喜びで子犬探しを始めた。1月の下旬だったろうか、彼は自分が人に与える印象とは全くかけ離れた、かわいいラットテリアとチワワのミックスを救助グループから引き取ったのだった。その時私は「躾のことなら多少知っているから、ぜひトレーニングさせて欲しい」と何を思ったのか口走っていた。超日本男児Nさんは多少戸惑いながらも「んじゃ、トレーニングのほう、よろしくっす。」と答えてくれ、私と彼は週に一度彼のお家で「清兵衛さん」と名付けた子犬のトレーニングをすることになった。 8週間のトレーニングが過ぎ、私は彼に「やっぱり動物と接することって楽しいよね~」と言うと、彼は「The Avs Girlさんって、こういうの向いてるんじゃないですかね~」とくったくなく答えてくれた。私はその時、そういえば子供の頃、テレビで見た警察犬のドラマに首っ丈で、そんなワンちゃんをたくさん育てられたら楽しいだろうな~なんておもってたのよね~と一緒になって笑うと、彼はちょっと真面目になって「やってみたらいいじゃないですか?」と言った。私は「え?」と言うと「やりたい、と思うことがあるんだったら、やるべきですよ。」と清兵衛さんと戯れながら、そう言った。。。 家に帰ってそのことを旦那に言うと彼は「今だから出来る事、っていうのもあるんだよ。必要に迫られてだと、自分の本当にしたいことよりもまず、お給料がいくらで勤務時間はどれくらいで、っていうことを優先しちゃうだろ?でも、今の君はじっくり見据えることができる。もし、専業主婦でいたいのなら僕はそれでも構わない。でも君が仕事をしたい、というのなら、僕はそれも大歓迎だよ。」と。そして、彼はこうも付け加えた。「10年前なら僕だって、エスタージュをすることなんて、考えられなかったことを、今ではできるようになったんだから。」と。 動物愛護や動物シェルターから身を引いてもう、10年くらいになってしまう。。。 そんな時、私はシェルターの仕事を辞めて以来メールも電話もしていなかったフォスター課で一緒に働いていた(ボスでもあった)へザーからチェーンメールが届いた。「元気?」と一言だけ添えて。私はそのメールを何度も、何度も読み返し考えた。こんな妙にタイミングのいいことなんて、おかしすぎる、と。気がつけば、私は彼女に返信を送っていた。「また、ボランティアとしてシェルターで働きたいんだけれど、私はもうブラックリストに載っちゃったかしら?」と冗談を込めて。。。 彼女から返ってきたメールは大喜びの言葉が並んでいた。私は電話を取り、彼女の働くシェルターにボランティアの資料とアプリケーションを送って欲しい、と伝えた。そして、遂に私はシェルターのボランティアとして復活し、へザーとまた、一緒に仕事をすることになった。彼女は10年前の頃とまるで変わらず、満面の笑みで私を迎えてくれた。 ボランティアを始めた当初はきちんとした犬訓練士になるには、と技術的なものや知識などに重点を置いていたのでスーとの時間を最優先していたのだが、シェルターでボランティアをするうちに私はたくさんの疑問も持ち始めていた。 虐待され続けた動物や全くと言っていい程人間との接触がなかったような動物達に「名犬ラッシー」のようになれ!と求めるのには無理があるのではないか、と。そして、シェルターに連れてこられてしまった境遇があるからこそ、多少のことは目をつぶってくれるだけの余裕がある飼い主さんにもらわれていくほうが幸せなんじゃないかとまでも思い始めていた。犬訓練士スーのもとにはブリーダーからもらわれてきた、生後8週間の純血統の子達がほとんどだから、訓練士にとってはやりやすい子達ばかりが来るのだ。私はお母さんの存在さえも知らないような子犬達や、ハイウェイでうろたえながら、なんとか保護された子達のトラウマを全く知らない、無垢なままの子犬たちと接するのは、とても楽しかったのだが同時に私の「本当にしたいこと」というのは犬を「訓練」することだけじゃない、ということに気づき始めていた。。。
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