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2004年11月30日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
金曜日の午前中、チョコレートを一口齧った瞬間。

産後に処置しようと考えていた前歯が、ポロリととれた。

正確に言えば、最初ガリリという鈍い音と共に
それの一部が、まず崩れた。
次に歯を軽く押すと、ぐらぐらと土台以外が揺れた。

そして次の瞬間あっさりとポロリ。

掌には役立たずの歯ひとつ。
鏡の中には間の抜けた顔ひとつ。

即、夫が8月から通っている歯科医院のHPを
ネットで調べ、電話をかける。

「数年前、別の歯科医院でなんですが、入れた前歯が
先ほど取れまして。で、前歯で目立ちますんで早急に
処置したいんですが、どうすれば」

受付の女性は異常な程感じが良い。
顔を見なくとも満面の笑顔が伝わってくるような、話し振り。
(勢いのある笑顔、であると推測される)

今日中ならば8時過ぎと言われたが、出かけるには遅いので
土曜日12時が空いているとの事で、早速予約を入れる。

その歯医者は電車に乗り一駅の所にある。

節約と運動を兼ねてか、夫はそこに自転車で通っているが
臨月近い私にはそれは無理なので、電車を使う。

実は先週水曜、安静がようやく解除されていた。
それで今回、実に久し振りに電車というものに乗った。

陽の光を浴び地上を走る地下鉄の銀色。

もぐらのように地下を這い走る地下鉄に
もしも心があったならば
地上に出る瞬間、地下鉄は何を想うだろう。
ふとそんな可笑しな事を考えた。

電車に乗る。ただそれだけが楽しい。
少しだけ幼い子供の気持ちが分かった気がした。

歯科医院は駅のすぐ近くのビルの2Fにある。

出入り口近くの待ち時間を過ごさせる為の
玩具や絵本があれこれ置いてあるスペースで
子供数人が遊んでいる。
他に、シッターさんとおぼしきお姉さんと
父親とおぼしき男性が一人。

問診表に記入し、受付の女性に提出する。

やはり勢いのある笑顔だった。まるでマシンガンのようだ。
受付の向こう側の世界は、戦争のような忙しさだ。
まるで魚屋のような活気である。

名前を呼ばれ、治療を受ける。
室内はそう広くはないが清潔である。
椅子は7台程あったろうか。

膝掛けかけられますか?椅子は苦しくないですか?
もう少しですからね、と助手の女性の細やかな気遣い。

担当は、カバに似た中年の男性の歯科医。
感じは大変良い。処置自体には正味10分も
かからなかったと思うが、その間まめにうがいを
勧められたり、待ったりあれこれ質問されたりしたので、
総合して3、40分程度かかったかと思う。

「じゃ、応急処置をしますから。あくまで応急処置ですので、
固いものなどあまり噛まないようにして下さいね。産後に
治療しますから、またその時いらして下さい。」

席を立つと、何故か目線がびゅっと集まり
あちらこちらから「お疲れ様でした」の声。
何か、美容院を髣髴とさせる。
何人もがあらゆる方向から時間差で同じ言葉を投げるので
こちらもそのたんびに「お世話様でした」

会計を待つ間トイレを済ませ、口紅を引き、
ファンデーションを直す。

向こうで名前を呼ぶ声がしたのでレジ前に立った。
すると、受付のミス・笑顔の爆弾が話し掛けてきた。
「旦那さん、もう少しですからね」

・・・ん?
突然の事に軽く狼狽しつつ「はい」と返事をする。

あ、そうか。

どうやら皆さん、私が妻である事をご存知なのらしい。
住所や電話番号が同じなのだから、一目瞭然か。

「旦那さん、とてもしんどそうで。私達も極力てきぱき
処置をするようにしているんですけど、型取りなんかをすると
ご気分が悪くなっちゃうらしくてね」
「ああ、そうなんですよ。口の中に何か入るのがね、
苦手らしくて。お世話おかけしまして、すみません」

(ちなみに私は歯科治療は割りに平気で、注射が大の苦手である。
同じ注射でも歯の麻酔は意外に平気で、
そこ以外に打たれるものは全滅だ。
一度胃の動きを止めるという名目で打たれた筋肉注射を
されて以来の敵である)

その受付女性は、言うのだ。
「旦那さん、ちょっと有名人です」

何故に。

「そうなんですか」
「見た目がほら、とてもクールなのでそれで
ギャップがあってね~。そんなの全然平気そうに
見えるのに、凄くしんどそうだから」
「ああ、確かにね~平気そうに見える。私は全然
そういうの平気なんですけどね。夫婦で苦手分野が
全く違うんですよね。ほんとすみません」
「いえいえ、いいんですよ~ただちょっと可哀想でね。
間休み休みしたりしているんですけど。さっきOさんの
奥さん?ときかれて、そうそう、って。何人か治療中
お顔を見に行ったりも、してたと思うんですけど」

すると私は

あのOさんの奥さんがいらしてるわよ、とか
へえ~あれがあのOさんの奥さん、とか
噂をされていたのだろうか。

「あの」の意味する所が「あの型取りの」とか
「あの休憩をよく挟む」とかいうものであるのかと思うと
なんとも気が抜ける。

おそらくあの歯科医院には今後長きに渡り
お世話になる事になるだろう。
あの話し好きの受付の女性が
次に何を話し掛けてきてくれるのかが楽しみである。

洋服屋で彼の衣服を何点か買って、家に帰った。
ほれ、少しはお洒落しないと。
有名人なんだから。


















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最終更新日  2004年11月30日 12時49分51秒
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