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引き続き振り返り日記。
_____________ 先週土曜日の空は荒れ狂っていた。 あまりにも季節外れの台風。明らかに何かが狂っている。 それなのに一方この台風に歓喜にも似た想いを抱く自分がいた。 子供の頃から、台風に心が高揚するのは何故だろう。 見た事はないのだが、何故か台風が来ると決まって 「台風クラブ」という映画のタイトルを思い出す。 (台風に気持ちを高ぶらせる少年少女達、の映画なのだそうだ) ざわついた心がもっと降れ、もっと吹けと呟く。 そうなったらそうなったで困るというのに。 私はもしかしてあの頃、世界の全てを木っ端微塵にして 初めから無かった事かのようにして欲しいとでも 密かに願っていたのだろうか。 全てを失う事になるというのに。 ともかく。 嵐は、私を掻き毟る。そして矛盾した感情を引き起こす。 嵐が来ると、好きな男に粉々にして欲しくなる女を 私は多数知っている。 この嵐の晩、久し振りに薔薇の香りを香らせて眠った。 ハーブの店で買った薔薇の香りのするスプレー。 (瞳を作った頃は、毎晩使っていた) 私の仕事は香りに関係のある仕事である。 夫もまた、香りが好きな人である。 初めて部屋に遊びに行った時、まずお香が目についた。 薔薇のお香であった。 キャンドルもあった。 イランイランの香りのキャンドルであった。 この2つの花の作用を知る私は、ほくそえんでしまった。 「何の花が好き?ときいた時も、夫は間髪入れず 「薔薇」と答えた。「あ、蘭も好き」 (ちなみに私の好きな花は、例えば「金木犀」である) 私は次に「どう誉められると一番嬉しい?」ときいた 「そうだな、色気があると言われると嬉しいかな」 最後に、男にとりもっとも大事なものは?ときいた。 「責任感」 何か、象徴的な気がした。 非常に頷けて、ますますほくそえんでしまった。 この人は本当に男なのだ、と思った。 薔薇はまるで「セックス」そのものだ。 薔薇は、生殖と密接な繋がりがある。 催淫作用を持ち、そして精子を増やしたり、 子宮を強壮したりする。生理痛やPMSを緩和する。 色気のある香りだけに、この花が生殖器に 作用するというのは、実に説得力がある。 強く納得させられてしまう。 気障に表現するならば。 薔薇の香りが瞳を作ったのだ、とも言える訳だ。 窓の外の激しい風雨をよそに、夫は平和な寝顔をして ぐっすりと眠っていたが、私は台風の高揚に弄ばれ なかなか寝付けずにいた。 何か妊娠というものがとてつもなくエロティックに 思える一夜だった。 ________________ 一方日曜は義父と義母のプレゼント選びに イクスピアリへ出かけた。 それまで、親子関係の潤滑剤として夫は律儀に、毎年必ず 彼らにプレゼントを贈っていた。 しかも、かなりの額のものを。 しかし、夫はもう親のプレゼントにお金を かけない事にした、という。 結婚したのもあるだろうが。 きけば彼らは夫の贈ったものをほとんど使っていないという。 そして先日彼らは以前夫が彼の父親に送ったプレゼントを、 家に遊びに来た際「使わないから」と返却してきたのだった。 その為か今回のプレゼント選びはアバウトなものであった。 いいの?ときくと、いいんだよ。どうせ喜ばないんだから。 あの人達は、物をもらう事に慣れてしまっているんだよ。 だって、家にもらいものの為の箪笥があるんだから。 有り難味が分からないんだ。(彼の父親は教員である) 夫自身は長年彼らの息子をやっている訳で、 こういった彼らの言動には慣れてしまっている。 半ば、悟ってしまっている。 だから失礼極まりないよねえ、と冗談にして 笑い飛ばしてしまう事が出来る。 彼らのこんな風な言動は外から来た人間の私にしてみれば 腹立たしく違和感のあるものだが、それは 私がまだどこかで「親に対して期待をしてしまう」 人間であるせいなのかもしれない。 私は実親に対してまだ諦めきれていない所がある。 大人になってもまさかね、でも、と期待をし 案の定その期待を裏切られ、軽く傷つく事が時々ある。 だから夫がこういう目に遭う度、夫の代わりに どこか自分が緩やかにだが、勝手に傷つく想いがするのだ。 夫の両親は概ね優しいし、会えばにこにことしている。 デリカシーに欠けた所もあるし、古風で細かい所もあるが 瞳可愛さにセレモニードレスを用意してくれもすれば 必要なものがあれば言ってと言ってくれもする。 頼られる事、世話をやく事が好きなんだよ。 先生だからね、と夫は言う。 りえは沢山話をきいてくれるし話をしてくれる。 うちの親はりえを気に入っているし、りえもまた 自分達を気に入っている、と思っているんだよ。 単純だから、と夫は笑うのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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