雨ならいいのに

妊娠生活も早いもので37週目。臨月に入り2週目である。

思えばあっという間であったような気がする。
その間つわり、便秘、不眠、浮腫、たんぱく、貧血、腰痛等
数え上げたらきりの無いあれこれに悩まされたが、
赤ん坊は無関係にすくすくと育ち、ここ2週間分の
数値に関しては分からないが、恐らく現在体重3千数百は
あるはずである。良く蹴り、そして良く眠る子だ。

少しでも早く陣痛が来るように家の中でもなるだけ動き、
外に出かければ出かけたで、歩きまくる。早く産むには
とにかく、動くしかないそうだ。

もっともそれでも早く生まれない場合もある。

両親学級で一緒になった、同じ産婦人科に通っている
Yさんから先週の月曜、電話があった。

無事出産しました、との報告の電話であった。
このYさん、予定日は11月29日であったのだが
子宮口を柔らかくする注射を数回打ってもらったり
あちらこちら出歩いたりしたもののなかなか陣痛が
起こらず、実際出産したのは1週間遅れの12月6日で
あったようだ。

たまたまその週の木曜は私の定期検診の日であったので、
Yさんと赤ちゃんの顔を見に行った。

産まれてたった数日の新生児を見る機会など、滅多に
あるものではない。本当に、新生児とはなんと小さいのだろう。
3600ｇあり大柄なはずなのだが、私には赤ん坊はそれでも
イメージしていたより随分と、小さく見えるのだった。

「あ、そろそろ起きるよ。」とか「これはおむつ濡れてるね」
等と言いながら、慣れた手つきで赤ん坊の世話をする。
その母親振りは、産んでとても数日のそれとは思えない。
この落ち着きは性格だろうか。そう言えば彼女は大らかで
楽観的で、あまり動じない人のように見える。

「私ね、先生には内緒なんだけど。あまりに産まれないから
那須に行っちゃったの。そしたら、遊び終わった頃破水して。
パスって音がしたし、濡れ具合ですぐ分かった。それから
すぐ電話してこちらに戻ってきて、入院して」等と
あっけらかんと言って、Yさんは私を驚かせるのだった。

時間的にもお産は初産にしては比較的楽であったらしく、
Yさんは思ったより楽に産めてしまったわ、という
すっきりした顔をしていた。

思わず私もいっそ破水したい、と思ってしまった。
もちろんぬかりなく、外出先にタオルは常備で。

昨日、37週目のレントゲンを撮った。

レントゲンでは骨盤の広さに対しての赤ん坊の頭の大きさが
自然分娩に耐えうるものか、赤ん坊の骨盤への降り具合は
どうか、等が分かるらしい。

結果は私の骨盤は充分な大きさがあり、赤ん坊の頭も
充分そこを通れる大きさであるとの事、そして赤ん坊は
きちんと骨盤に降りてきている、との事であった。

本当にいつ産まれてもおかしくなく、また産まれても良い
状態である。カモン陣痛とばかりに、早くも組み立て済みの
ベビーベッドの上で、入院グッズ一式を入れたバッグが
静かに待つ。

そう言えば先日家に友人2人が遊びに来た時、私の赤ん坊
通称「中の人」の誕生日がいつになるか、賭けようという
話が出た。

私も悪乗りして賞品出すよなどと言ってみたりして。

2人はそれぞれ、25日と30日に賭けた。

あ、賞品はちゃんと出しますからね。それぐらい
当たるって事は凄い事ですよ。ほら、お産は生もん
ですから。