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2005年02月22日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
なかなか強くなってこない陣痛を、微弱陣痛と言う。

通常陣痛というものは間隔は徐々に短く、痛みはだんだん
強くなってくるものなのだが、これが私の場合いつまで
経ってもそうはなってくれず、気付いたら陣痛から娩出まで
42時間というおったまげるような長い時間が経過していた。

間隔が5分感覚になったところまでは割りに順調であった。
が、そこからがもう、一向に縮まらない。

こういう状況、当人はどう感じるかというと。
あまりに長時間だと、段々とその苦痛すらが
退屈になってくるんである。

痛いよ~の苦痛と退屈が入り混じり、もうやめたいよ~
という心境になってくる。「ああ、痛いし退屈だしやだな。
でももう引っ込みつかないしな、やるしかないなあー。」
そんな感じだ。

だから、クリスマスに食べるはずであったクリスマスディ
ナーのフォアグラは勿体無かったな、こんな事なら
行けたわよね、とか。考え始めたりもする。

そう。陣痛というものは始終休みなく痛い訳ではなく
、始めの方は妊婦は精神的にも肉体的にもかなりの余裕が
ある為、結構外食ぐらいならする気ならば出来てしまう
ものなのだ。

実際、陣痛が始まったからと産院を訪れた所、
まだまだだから様子をみるように言われ、あっさり
自宅に帰されてしまうケースも多い。

何が原因で微弱陣痛になったのかについては今もって
不明であるのだが、済んでしまった今としてはまあ
どうでも良い事である。出産は、終わり良ければ、の
最たるものである。

人間とは案外、どんなに辛い事でもあまりにそれが単調で
そして長時間に及ぶものであると、その辛い事のどこかに
可笑しみを見出してしまう、或いは見出すようになっている
もののようである。人間に元々備わった苦難の人生を
歩む上での知恵、のようなもの、なのだろうか。

例えば、浣腸。

浣腸が必要な出産って行為ってそもそもなんだかなあ。
恥ずかしすぎるよなあ、羞恥プレイだよなあとか。

百戦錬磨の看護士さんに背後から淡々とグリセリンを
注入されながらひしひしと熱くなってくる下腹部を感じつつ
自分でひとりボケ突っ込みをしていると、自分がM女で
あるかかのような妄想がもくもくと湧き上がり、次第に
可笑しくてたまらなくなってきたりする。

陣痛の「あいたたた」と「うひゃひゃひゃひゃおっかし~」が
渾然一体となり、もう訳の分からない精神状態になって
くるんである。

ちなみに看護士さんはなかなかに女王様の扮装が似合い
そうな方なのであった。

そんなこんなで私はあいたたたと脂汗をかきながらも、
食べるはずであったフォアグラの事を未練がましく
考えたり、あるはずもない看護士さんとのSMプレイの事を
つらつらと考えていたんである。

痛みと痛みの間には意外にも退屈があり、そして
痛みと退屈の間には、意外にも笑いがある。






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最終更新日  2005年02月22日 15時56分57秒
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