038587 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

雨ならいいのに

雨ならいいのに

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

rie_rainy

rie_rainy

お気に入りブログ

BALLADS 山中玄さん
Keine Rose ohne Dor… St.Roseさん

コメント新着

haku@ Re:とぼとぼと雨に濡れて(06/26) 10年ひとむかし。 でも、ここにはあのとき…
王様@ 潮 吹 きジェットw サチにバ イ ブ突っ込んだ状態でジェット…
りえ@ Re[1]:祈り(11/19) nyakoさん はじめまして。ここを始めて…
nyako@ Re:祈り(11/19) はじめまして。同じく一児の子を持つ母親…
rie_rainy@ Re[1]:電話とサトイモ(11/16) 旅人さん 食べるでしょ。やっぱりあ、…

フリーページ

2005年06月22日
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
本当に忙しい毎日だ。時計がカチカチ常に耳元で鳴っているような。

私の朝は早く、そしてまた夜も早い。
朝を告げるのは私の家では鳥ではなく、子供だ。
ぬるりとした真っ暗闇を、無邪気な甲高い声が切り裂く。
残酷でもあり純真でもあり壊れやすそうで
それでいて強靭でもある、響き。

大人はもう少し寝ていたいのだが、子供は待ってはくれない。
(そう、子供は待ってはくれない。大概の事において)
根負けして起き、雨戸を開けると、雨が降っていた。

この雨戸は、開けるととても大袈裟な音を立てる。
「ガラガラ」と「キーッ」が同時に鳴る。
しかも寝室の方のは小さく穴が開いていたりもする。
夜は真っ暗闇で眠る事にしているので
この雨戸を開けずして、朝は始まらない。

私の今住むアパートは築年数が古く、あちこちに
昭和の香りが残っている。部屋には鴨居があり、
うっすらと草花の模様が入ったクリーム色の襖があり
そして常に、どこか湿った匂いがする。

近々この家と、さようならをする事になった。

元々ここは夫が独身時代から住んでいた単身者向けの
物件だったのだが、面倒でもありそのまま住んでしまっていた。

けれども子供が動くようになり、流石に手狭になった。
この間取りと広さでは子供が夜眠ってから
大人がゆっくりテレビを見たり音楽を聴いたり話したりする
時間が持てない、というのもある。

去年の今頃はまだこの子は私の中。
あの頃もこんな風に、雨が降っていたのだな。

_______________


雑事を済ませる間、この子をベッドに置いておいた。

しばらく泣き声がきこえていたが、用事を済ました頃
そっと襖を開けると、いつの間にか、眠ってしまっていた。
うつぶせになり、枕とは反対側に頭を置いて眠っている。
細くてタンポポの綿帽子のような髪の毛が、
扇風機の風になびいていた。

睫にはしずくをたたえている。
朝露を含んだ草の葉のようだ。

なんとなく今日は、雨に降り止んで欲しくない。

バラバラとビニールを打ち付ける雨の音。
ぴちゃん、ぴちゃん、雨の粒は
スローモーションで落ちていくようだ

生きる喜び。生きる哀しみ。
ごちゃ混ぜになり、雨雲となる。

愛しいひとよ。
愛すべきひとよ。
かつて愛していたひとよ。

何も見ぬ感じぬ振りをするのは難しい事だ。
むしろ人一倍見、感じていてもいるのに。

泣いてしまおうか、と思ったが無理だった
泣いてしまうには、哀しみがのっぺりとしすぎている。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005年06月22日 19時40分18秒
コメント(4) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X