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「不器用だよなあ。もう少し器用なら、楽だろうになあ。」
出来たら私だってそうしたいのだけど。逆にどうやったら器用に 生きられるのかがききたいな。 「ドアを開けておくんだよ。さあどうぞ、と開けておく。 俺なんて、誰が入ってきてもいいって感じだ。人との出会いは いつだって楽しい。そこで起こる事も。」 私はそんなに閉じてるんだろうか? 「閉じてはいないけど、なかなか入れない感じはするかな。 あの頃。 上手く笑おうとしているのだ、とMは言った。 上手く笑おうとしなくても、本当は人は笑えるものなんだよ、自然に、 そう言われている気がした。 私は、誰にでも時には上手く笑おうとしなければ笑えない、そんな日だって あるんじゃない、と言いかけてやめた。自分がネガティブな意味で特別だと 言われている、そんな気がして。 「君はね。そしてある部分では凄く大人なのだけど、一方壁を張り 巡らして、そこからおっかなびっくりで、顔を覗かせている感じがある。」 ・・あ。ちょっと痛いかな。 「直子がいるよね、中に。」 「ノルウェイの森」の直子は、余りにも痛々しいキャラクターだ。 いつでも生きる事を自ら難しくしてしまう。自分を取り巻く周りの世界と 上手く折り合いをつける事が出来ず、最後には死を選んでゆく。 ねえ。貴方はそう言うけれど、私はあそこまで不器用だろうか? それに、あそこまで繊細でもないと思う。 「違うよ。俺が言いたいのは。それも君の魅力のひとつなんだよ。」 ただ君はその直子とあまりうまくやれてない気もする。友達としては、 もう少し楽になると良いなと思うんだけどね。」 楽になるにはどうしたら良いと? 「簡単だ。うまく折り合いをつけて生きるんだよ。直子とね。」 勿論井戸があるかと問われれば、私にもある、と答えなければならない。 井戸の底から遠い月を眺めているような気分になる夜だって、ある。 湖は繋がっているから大丈夫だよ、とMは言った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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