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2005年07月28日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
さて、あれから。

7月の第一週、想い出多き2DKを後にし、3DKのマンションへと
引越しをした。各手続きも一通り済ませ、やっと落ち着いたかなと
いう所だったのだが、その後瞳が産まれて初めて熱を出したり
お客様がやってきたりと色々とあり。

まあ、とにかく。

まだあれこれ買い足すなり整理するなりして、いじらなければ
ならない箇所は沢山あるが、普通に生活する分にはもう何ら問題はない。

引っ越しというのはそれ相当にパワーの要る作業なのだな、と実感した。
感傷に浸っている暇は予想に反してまるで、といい程になかった。
人が感傷にひたるのはそれが出来る余裕があるという事だ。
忙しさを前には、あらゆる感傷がすっかりすっ飛んでしまうのだった。

その感傷を初めて味あわされたのは、それから
しばらく経ってからの事だ。

私は瞳を夫に預け、約3ヶ月振りに
伸びっぱなしになっていた髪を切りに行った。

その美容院は元のアパートから7、8分程度の所にある。
新しい住居は元のアパートからは15分程離れていて
引っ越しを機に美容院をもう少し近くの店に変えても良いのだが、
料金も手頃で技量の程度も問題ないし気心もまあ知れているので、
取りあえずは継続して通う事にしたのだ。

わさわさと音が聞こえてきそうな程沢山の髪の毛とお別れをし、
頭の軽さに気分を良くし、久々の登場の前髪をねじねじと弄びながら、
私は帰りに、何気なくアパートの近くを通った。

その時に、初めて想い出が押し寄せてきた。

初めて寝た時の事。
結婚しようと決めた時の事。
祈りを込めて子供を作った時の事。
祈りが通じて身ごもった事を知った日の事。
その子が女の子である事が分かった日の事。
つわりで苦しんだ事。
陣痛がきた時の事。
とうとう生まれてきた瞳を連れて帰ってきた時の事。
彼女が初めて笑った時の事。
寝返りをした時の事。

R&B。
ボサノヴァ。
目玉焼き。
アロマキャンドル。
ずたぼろ靴。
ゴミの日。
日経新聞。
トラットリア。
サウンド・オブ・ミュージック。
駅前のプール。
桜の木。

誕生日。
クリスマス。
泣いた日。
笑った日。
怒った日。

枚挙にいとまがない。

日めくりのカレンダーのように想い出はひとつひとつ
ペラペラとはがれ、風に舞いながら飛んでゆくのだった。

引越ししたての日曜、夫が前の住まいのクリーニングの立会いに
出かけている間に、段ボールだらけの部屋で炊飯器をなんとか
引っ張り出して、私は米を炊いた。

ヤドカリの気持ちが良く分かった。
ヤドカリはハサミで貝の広さを測る。
それで自分がそこに住むどうかを決める。
住むと決めたヤドカリは、ごそごそ体を新しい貝殻に滑り込ませる。
おずおずと。そう、おずおずと。

その空間はまだ私の体に馴染まなくて、私は戻ってきた夫と
物も言わず、宙ぶらりんな気持ちでカレーを食べたのだった。

ああ、もう少ししたら夏の本編が始まるのだな、と思った。






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最終更新日  2005年07月28日 11時06分26秒
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