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或る夜
なんとなく靴を履き一歩踏み出す ドアを後ろ手で閉める がちゃり 寂しかったから? 何か嫌な事でも? 辛い事でも? 全てにNOを貼り付ける 蛍光灯に蛾はいない ふらり乗ったエレベーターが落下してゆく 公園脇を通り越し大通りに出る ただただ歩く 歩くしかない 車のクラクション ファミリーレストラン 閉店したドラッグストア 人気のほとんどないレンタルビデオ屋 コインランドリー 皆、何所からきて何処へ行くのだろう 私もだ そう、私も 何処から来て何処へ行くのか とにかくずんずん進む 家からどんどん遠ざかる どんどん進めば進む事で、無意味に戻りたくない気がしてくる が、差し当たって戻らない理由が見つからない アスファルトを蹴り上げて戻る 回れ右 きゅっ この道をひたすら行くと、何処にたどり着くのだろう いつもいつもそんな事を考えている あらゆる街のあらゆる道の上で 何処にたどり着くのだろう、だって? 何処かにはたどり着くが 何処にもたどり着けないんだよ ふわり シャンプーの匂い ああ 私の髪の匂いだ ムシが鳴いている 遅くまで開いているスーパーマーケットで 野菜ジュースと薩摩芋を買う あの左から3番目が、そう私の家 夜の冒険、誰にも気付かれず終了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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