ライク・サムワン・イン・ラブ
先週、久々に映画館で映画見たんだけど・・・かんとくーーー、そこで終わりっすかぁ~~・・・って感じでしたライク・サムワン・イン・ラブLike someone in love(2012年日本・フランス)監督・脚本:アッバス・キアロスタミあらすじ大学で社会学の教授をしていたタカシ(奥野匡)は、現役を引退し、80歳を超えた今では孤独の中に生きていた。ひとときでも家庭のぬくもりを味わいたいと考え、デートクラブを通して亡き妻にも似た女子大生の明子(高梨臨)を家に呼ぶ。タカシは食卓に桜エビのスープとシャンパングラスをしつらえるが、一方の明子は彼女に会いに田舎から出てきた祖母と会わずに駅に置き去りにしてきたことが心に引っかかっていた。翌日、タカシが明子を大学まで車で送ると、彼女の婚約者だと名乗るノリアキ(加瀬亮)が現れる。タカシを明子の祖父だと勘違いするノリアキ。明子とノリアキが、タカシを激しく動揺させることになる……。 というわけで登場人物は、ほとんど上記の3人。デートクラブに出入りする客なのか、客と手引きする役なのかよくわかんないけど、タカシに明子を手配するヒロシ(でんでん)とかヒロシに頼まれて明子をタカシの家まで送る、タクシーの運転手(大堀こういち)くらいしか私には分かる役者さんはいませんでした・・・・パンフレットを見ても、役柄と本人の名前が載っているのはなんと18人。人が出てこないわけではなくて、何気ない日常の風景がたくさんあるからすごーーーくエキストラが多い映画といえるでしょうね~もちろん、私は加瀬亮見たさに 見に行ったわけですが、タカシという人物はかなり魅力的でした。とても年配ですが、ボルボを運転して今だに何か本を書いたり、頼まれて翻訳したり、部屋に気に入った絵画を飾っていたり、ジャズを流していたり・・・・なかなかのインテリで、落ち着いていて、聞き上手で・・・でも、奥さんとか娘さんと何があったのか、とかヒロシとはどういう関係なのか、とか、明子が来た夜何があったのか、とか全然わかんない。 役者は通しの台本渡されずに、その日その日の台詞をもらっていたそうですが、アドリブのような会話もたくさんありました。長回しも多用されていて、最初は夜のカフェでのシーンですが明子が最初から映っているわけでもなく、どういう場面かわかるまで少し時間がかかったり・・・本当に、日常の一こまを切り取ったような感じでその前も、そのあとも、見る側が想像するしかない、というか・・・加瀬亮のノリアキという役も、面倒な男。明子の彼氏なんですが、中卒で自動車整備の仕事をしていて、女子大生の明子とどういういきさつで付き合うことになったのかわからないし、かなり執拗につきまとう感じで、しかもキレやすくて・・・ 祖父に、この人だと思ったら結婚するべき、というようなことを言われたことがあって、それを忠実に守ろうとしているようなんですが、明子がコールガールみたいなバイトをしている(実際にしてるんだけど)疑いを持っていて、さらにストーカー気味になっています。大学で待ち伏せて、昨日どこにいたか、なぜ携帯切っていたか、としつこく迫る。かなりコワイ彼氏です で、結局3人で車の中、というへんな状況になっちゃうんだけど、タカシは年の功というか、慌てずさわがず、ノリアキの話を聞き、ノリアキも仕事に関しては頑張ってる感じで、すぐに車の部品を取り替えてくれたりして・・・多分、悪い人間ではないんだろうなーと思うんですけどね。タカシは自宅へ帰り、明子は昼にノリアキと食事することになるんですが自宅に帰ると明子からただならぬ電話があり、迎えに行ってみると口元を腫らして泣く明子が・・・あわてて連れて帰ったタカシの自宅に、今度はノリアキが怒鳴り込んできます。ノリアキと明子の間に何があったのか全然語られてませんが、その二人の会話の中でタカシが本当の祖父ではないことがわかった?で、ノリアキがどうやってタカシの自宅を知ったのか、これまた???とにかくすごい剣幕で車をぼこぼこにしているらしい、というのが音とノリアキの罵声だけで分かるんですね。怯える明子と、なだめるタカシでしたが、ラストは外を確認しようと窓に寄って行ったタカシの目の前の窓に石?か何かを投げ込まれて窓が割れてしまう、そこで話が終わってしまった。えーーーーっ・・・・・あのあとどうなったんだろう・・・ノリアキのものすごい剣幕では、話し合いにもならないだろうし、第一タカシと明子の間に何かあったのか全然わからないし、判断のしようがないんですよね~というか、私の中で、映画はこう始まってこう終わる、というパターンが出来ていたんですよね、きっと。でそれがことごとく違っていて、最初はそれが違和感だったんですが、映画を決め付けていたのかも・・・という気持ちもありました。そのへんが、キアロスタミ監督の評価を受ける所以なのかもしれないなー、と改めて実感。監督の作品は、いくつか見ているものの、確かにわかりにくいというか私には難しかったりもします。この映画は、本当にこの人物たちの、24時間にも満たない風景を一部分だけ見た、という感じで、多分この前もあとも話は続いているんだしそれは想像するしかないんですよね。でも、、、、、やっぱあそこで終わったのはびっくりでした。この話の中で、一番私が切なく思ったのは、田舎から出てきた、という明子のおばあさんが、ケータイの留守電に入っていた通り、駅前の像の前で明子を待っていてそれをタクシーの中から確認する明子が思わず涙してしまうところ。おばあさんは、明子がそんなバイトをしていることを知らないんだけど、電話ボックスに似た顔の写真があった(実はそれは明子なんだけどね)、という話をするんですね。多分、明子も大学に通うようになって借金をしたみたいで?(その督促の電話も入ってくる)そんなチャラい女子大生っぽくはないけど仕方が無くバイトしてるような・・・でも、何があったのかはわからない。タクシーで涙を流しながら、口紅を塗りなおしてタカシのところに向かう、タカシの部屋では、絵画や写真を見て、自分が似ている話をしてみたりなんか切なくなってしまうんだよなあ・・・まあとにかく、終わり方にびっくりしましたが、そしてエンドロールを最後まで見ても、その後のことを匂わせるような、サービスカットはまったく無かったですが、、、、ちょっと、映画のパターンというか先入観が変わった・・・・そんな作品でした。