巨大なショーケース上海
かつて上海政府の方から聞いた話によると、「上海は中国のショーケース、あるいはショールームなんです」とのこと。それは「なるほど」と思えますね。でなかればあそこ無駄に派手なビルディングばかり建てないでしょう。そういうシンボル的建物が映像になって年がら年中、世界中を駆け巡るわけで、ある種、勝手に宣伝してくれるわけだから、巡り巡ってのコストは安いのかもしれない。(建築費は高くても)これらの自費で広告代理店に支払って世界中にCMしたら莫大な予算がかかる。それを勝手に報道してくれる…という視点で考えれば街づくりの視点でも参考になる事がある。そして、そうした報道映像が駆け巡れば巡るほど投資が集まり、結果、地価が上昇する。それで大儲けしている中国人は多数、である。そういう観点からも巨大なショーケースとしての役割を十分に果たしていると言える。ただし、現地に慣れてくるとそれは「ガラスのショーケース」であることがわかる。投資物件としてみればいいのかもしれないが、自分で住むために…としての視点ではなかなか厳しい。まだまあ工事が雑で、日本のそれとは比較にならない。箱の大きさやデザインだけで実際に住み心地は…というと、日本の古い公団の方がまだよくできいる。外見はビジュアル重視だけど、下水道は詰まる。エアコンの取り付けダクトは隙間だらけ。…などなど、住んだ人の分だけ色々ある。反面、いかに日本の住宅が素晴らしいのかも噛み締めることができる。だからあくまでも「ガラスのショーケースなんだな」と、こちらなりにも実感している。