観覧車の弊害とは…
仕事がら観覧車という乗り物は大変素晴らしいモノだと思っていた。これほど万能な乗り物は少ない。遊園地やテーマパークはもちろんのこと、騒音が少ないからショッピングセンターから街中にあってもいい。殺風景な景観に楽しさが加わるし、何より、他の乗り物と比べても赤字になりにくい。意外に儲かるのも特徴だ。ところが、ある中国人スタッフが日本に研修に行ってきたというからさっそく感想を聞いてみた時のこと。Rさんは神戸、大阪、名古屋、横浜、お台場…と巡って店舗の勉強してきた。僕が「どうだった?日本の街は?」と聞くと、Rさん「楽しかったですよ。とても」と朗らかに答えてくださった。「だけど、欠点はどこも同じような街に見えまてしまうことです」とのこと。「なぜ?」と聞くと、「僕が回った所は、どこも海があってショッピングセンターやホテルがあって観覧車があって…何しろ全部一緒でした」と。そこで、言われてみれば確かにそうかもしれないなぁと気がついた。「だから、写真を整理してても、ついわからなくなってしまうんですよ。僕たちのような外国人だと同じに見えてしまいます。なぜ同じ街を造るんですか?」と、逆に鋭い質問を浴びる事となった(汗)。僕たちならその写真で瞬時に見分けられるけど、研修旅行で巡った外国人にとっては大して違わないんだろうな、と。実はRさんもそこまで極端には思っていなかったらしいが、家に帰って家族に写真を見せた時、「なんだ、これじゃ全部同じ街じゃないか。もっとたくさん回ったんじゃないのか?」と言われて気がついたとのこと。それで写真を見ながらよく考えてみる原因がわかった。原因は「どこでも観覧車があったから」だった(笑)。それで尚更よくわからなくなってしまった様子。地元の人たちにとって観覧車があると景観が楽しくなるから好まれる傾向にあるが、こうして外国人客の目線になれば、地方の特徴を出さなければならないところが、「同じ景観化」を強化していることにもなってしまうとは…。「ようこそにっぽん!」のキャンペーンもいいけど、こうした外国人の視点を参考にした開発の大事さを痛感した。「もっと別の景色の所にも行きたかった…」というRさんの言葉が引っ掛かった(汗)。