中国の人材教育で見落としがちなこと
中国に出張して接客サービス研修をやるようになって何だかんだで17年。最初の10年は中国に進出している日系企業からの依頼が7割でした。この7年間くらいは、9割は中国企業の研修です。それで毎回課題になるのがチームワークです。多くの中国企業の課題と言えるかもしれませんし、現実に経営者の大きな悩みになっています。しかしながら、日本と比較して「あーだ、こーだ」と言うのは無理があります。そもそも小学校の教育内容からして大きく違います。給食当番や掃除当番にクラブ活動…授業以外の様々な要素で培われたのがチームワークです。わかりやすく言えば、そのようなチームワークを向上させるような教育はほとんどないも同然なので、できなくて当たり前と言えます。さらに、大きな問題は「一人っ子」です。私自身、昔から自分のチームを作る時には、メンバーの兄弟構成を十分に考慮して選抜してましたし、それは今でも組織を作る上でとても重要な要素だと考えています。例えば、4人のチームを作るとして<長男・末っ子・中間子・一人っ子…>という具合です。たまに血液型や星座を重視する人事部の担当者もいますが、現実にこの方がうまく機能しました。しかし、現在の中国で就職するのはほぼ全員一人っ子です。(1979年→2015年まで続いた一人っ子政策のため)長女も中間子もいません。なので、日本の研修内容の違いは一人っ子に特化したカリキュラムを作らなければならない…(評価システムも同様に…)という点にあります。だから、日本で使っている教材をそのまま中国に持って行っても、その時だけ盛りあがって…数か月後何も変わってない…ということが頻繁に起きるわけです。当然、マネジメントも違います。世間には「人材組織マネジメント」系の書籍がたくさんありますが、一人っ子だけの組織マネジメントについて書かれたものは極稀です。最近私たちは、中国のテーマパーク開発の仕事が多いですが、その基本構想や管理運営計画や運営マニュアルを作成する際にも、この一人っ子がカギになってきます。日本のノウハウをそのまま移植してもうまく行かない理由の一つです。レジャーサービス研究所