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カテゴリ:教育・研修
春節の中国人観光客が一段落した2-3月は 新入社員の指導をする人たち(インストラクターやトレーナーと呼ばれる人たち) の研修のシーズンになります。 近年、新入社員の指導に悪戦苦闘する企業が増えています。 理由はいくつもありますが、 業界ごとに多少の違いはあるものの、 新入社員の採用をする年、しない年があり、 定期的に育成していないので、ノウハウが蓄積されていない、 という場合が多いです。 そして何と言っても、年代ごとに家庭環境が違うため、 教える側もどう対応していいのか?わからなくなってしまうわけです。 学校教育の影響もあるし、家庭内教育の影響も大です。 親に怒られたことがない人、、、 欠勤する際に親が会社に電話してくる、、、 など、子供のペット化が進んだことが新入社員教育をすると実感できます。 かつてアメリカのある大学で、 人々に役に立つ本当に立派な人材は どのように教育されて育って来たのか?を調査したことがありました。 その結果の中で、最も重視されていたのが、 高校生から寮生活をしていた、というのがありました。 つまり、15歳くらいで親元を離れて、 同級生、先輩後輩の中で生活をして学業に励みスポーツをする、 というものです。 チームワークやコミュニケーション、リーダーシップなど、 寮という実生活の中で身につけていくわけです。 22歳の大学を出てから慌てて研修やセミナーで勉強しても、もう遅いということでした。 (実はこの3つは大人になってから身につけるには、相当な労力を要します) 実際に、日本でもいち早くこのことに気づいて全寮制の学校を始めたところがあります。 または、見直されて人気があがったところもあります。 それで、実際にどうなのか? この話しを聞いて、私の知り合いの企業では2005年から実際に全寮制の学校からの採用を開始しました。 結果は、その通りでした。 社会人のベースとなるこうしたモラルの能力がとても高いのです。 先輩の意見をよく聞くし、自分の主張もするし、後輩の面倒見もいい。 助け合いの精神が身についている。 職場という共同空間がストレスにならない。 つまり、他人と生活したり活動することに何ら問題がないのです。 下手すると甘やかしてしまう家庭では教えられないことを しっかり身につけているわけです。 これからは学歴だけにとらわれた採用ではなく、 社会人として必要なことをしっかり学習体験してきたのかどうか? を基準に採用をするべきだなと実感します。 === 中国経済の今後に関して、 「まだ大丈夫。内陸部があるから、他国と同じようにならない」とか 「もう限界だ。バブル経済は崩壊して急落する」とか 経済関係者のコメントが飛び交います。 私は、別の視点で中国経済の先行きは不安視しています。 それは中国現地で行う研修で実感するのです。 2000年頃の現地スタッフを教育した時には、 「この国は人口だけでなく、ハングリーで親を大事にする人材が豊か」という印象で、 実際に私の研修に参加しているスタッフたちのノートは 毎週一冊のペースでメモを取るほどでした。 それから12年経つと、人種が変わってしまったのか?と思うほど変化しています。 メモを取るような人は数名で、 あとはスマホをいじるばかりで、 超ド級のわがままで、他人に迷惑をかけていることすら気づく能力の欠片もない。 一人っ子で親には怒られたことがない。 講義中に化粧を始める。飲む食べる、、、。 などなどで、あの勤勉な人材たちはどこへ行ってしまったのか?と懐かしくなります。 もちろん語学力など相変わらず優秀な人材はいます。 しかし、その優秀さというのは そのほとんどが「個人技」なのです。 チーム力という点では、 現在の中国のサッカーチームが象徴しているように思います。 各自の身体能力は素晴らしい。 しかし、試合には勝てない。 この世代が社会の中心になる10年後、 中国企業は大きいだけで中身は空っぽの企業体になってしまうのではないか? という懸念があります。 結局のところ経済や国を作っているのは人間で、 その人間が変われば経済も変わる、、、そういう視点で見てしまうのです。 経済政策ももちろん大事だけど、 教育環境、家庭環境(決して裕福だけが良いわけではない)も大事で、 未来はやっぱり後者が決めるのだと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012/03/17 02:37:07 PM
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