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カテゴリ:講演会・セミナー
楽天が中国の検索大手「百度」との合弁を解消して撤退、 というニュースがありました。 その後、様々なメディアで「楽天が中国事業で挫折」の文字が躍るようになりました。 また「叩きが始まったか」と思いました。 事業が自らが計画したものと違ったから、一旦仕切り直すためにも撤退する、、、 という決断した、ということですが、 報道の仕方いかんでは悲劇的なニュースに着色されてしまいます。 私の興味は違います。 ニッチもサッチも行かなくなって泥まみれの失敗劇になる前に、 事前に自ら線を引いて「ここまで!」と撤退できるのはなぜか? その線の引き方や、決断の仕方に興味があります。 (もちろん失敗の教訓も) 事業でも株でも賭け事でも、大負けしないで撤退するのが難しい。 (もうすぐ風向きが変わるはず、、、とかでズルズルしてしまう) 起業するのは簡単だけど、大やけどする前に辞めることができる人は少ないです。 大損して身包みはがされて、、、やっと「諦める」パターンが目立ちます。 (私の周囲では) 起業など「始め方」を教える人や団体は多いけど、 それに比べれば事業の「辞め方」を教えてくれる人は少ないでしょう。 それだけ判断と決断が難しい分野なのだと思います。 これは大きなものだと太平洋戦争も同様です。 戦争目的が明確化されないまま始まった戦争は泥沼化します。 もうニッチもサッチも行かない状態になるまで辞めることができないわけです。 (原爆が落とされるまで自らで辞めることができなかった) それは戦争設計がないからでした。 戦争の目的を果たしたら「ここで辞めます!」というものです。 その目的を国内外にきちんと提示し続けてないからズルズルと流れてしまいました。 その後、勝手な解釈をする人たちが出てきて、 アジア全体に拡大していく、、、まさに最悪の典型でした。 (まぁ、本来の目的は「石油」のはずでしたが、、、) そんな最悪を経験した日本が「撤退の仕方」や「辞め方」を教えない、学ばないのは、 実は、まだまだ戦争に教訓を真剣に学習していないのではないか?と思います。 (もちろん、戦争にならないような外交戦略はもっと大事ですが) 日本は先進国の中でも起業する人が少ないということで、 テレビで議論がありました。 それで銀行の担保の話しやエンジェルがいない、など 評論家の先生たちが書店で学べる程度の議論をしてました(笑)。 その話しは間違いではないけど、撤退の仕方を教えないからだということを 付け加えたいな、と思いながら聞きました。 アメリカは特に起業家が多い。 合わせて撤退や合併も多い。 「ここまでやったら売る」とか「辞める」という線引きがハッキリしているから、 辞めても皆「軽症」です。 (日本に比べれば) だから、すぐに別の事業でリベンジできる。 日本の企業の場合は、限界まで踏ん張る傾向があるから、 失敗した時にのダメージが大きくて、ほとんどが再起できないし、 そういう報道も目立ちます。 そういうのを聞けば、無理して起業しようと思う人は減るでしょう。 まるで起業は「命がけ」のようなイメージになってしまいます。 「成功するか?失敗するか?」とても勇気がいる決断を迫られます。 本当はそこに撤退方法とか辞め方のノウハウがあれば、 逆に「やってみるよう!」という人が増えるはずです。 街では起業塾など開催されてますが、 ぜひ「被害を最小限にする撤退の仕方」の事例もカリキュラムに入れて頂きたいと思います。 (もっと多くの事例を) === 実は、私自身このことを学習していたお陰で 中国でビジネスを続けることができました。 (大失敗や泥沼化の撤退をすることなく、、、) また、日本国内では大型リゾートやテーマパークの 事業計画の仕事をしていた経験と失敗教訓もいきています。 大手(ゼネコン、代理店など)の下請けで事業計画を作成すると 「撤退ライン」を入れないのです。 (求められない) 巨大な投資を必要とする施設を「造ることが目的の人たち」はそうなります。 そして完成後、現実には多くの施設がその撤退のタイミング見失い、 巨額の負債を抱えて倒産して、国民にも多大な迷惑をかけました。 そんなこともあって、中国で活動するにあたっても 多少大雑把でしたが、心の中で「ここまでライン」を決めていたからです。 このラインを超えなければよい、というものです。 投資する金額も1500万円まで、とか 活動期間の目標は10年続くように、、、 (それ以上続いたらご褒美みたいなもの) (そして、現地スタッフの社長化) 、、、とか、そういうことです。 この2つを決めておくだけで、妙な深追いを回避することができます。 仕事の性質上、巨額の富を得るような目標ではなくて、 日本で経験した運営・販売・サービスの教育が 中国で受け入れられるかどうか?がテーマで、 それで食べていけるようになるのかどうか? そんな程度の目標でした。 だから人々からは「もっと真剣に取り組んで拡大化をするべき」 というようなご指摘を良く受けました。 (または、出資をするからやりなさい!など) そういうのに惑わされないのは、自分で決めた身の丈にあった「ライン」があったからです。 大儲けもしてない変わりに大損もしない、、、。 お金でみればその程度のことですが、 代わりに「ノウハウ」は、膨大に蓄積できました。 これが大きな収穫であり、 これを日本に持ち帰ると、「欲しい!」という人や団体がたくさんあるのです。 私たちの活動をわかりやすく言えば 中国に小さな農園を持っている、つまり「農業モデル」のようなものです。 サービス業の種を中国に持ち込んで、農園で育てて、そこで収穫された農産物を 日本に輸出する、、、という感じです。 そして、この5年くらいは「中国人観光客」の接客方法や販売方法を教えて欲しい、、、 という要望が大きくなって、中国での経験がより大きな実りになってきました。 これは、東北の農家出身で大手証券会社に勤務していた私の父親が (高度成長期とバブル崩壊までをまさにど真ん中で経験した人生) 常々「農業のような仕事をしろ」と教えてくれたことが教訓でした。 さすがに農業そのものはできませんが、種をまいて育てて収穫する、、、 というモデルそのものがいつも頭に刷り込まれていたので、 (ネチネチと酒を酌み交わす度に、、、:笑) 自然とそういう風に活動できたのだと思います。 そういう意味では大事なアドバイスでした。 ついこの前までは農民がほとんどだった日本人は、 やっぱり農業的なビジネスの仕方が合うのかもしれませんね。 ちなみに、今後は日本と中国で本物の農園を持つことが目標です。 === 先日、某企業行われた「中国ビジネスの成功、失敗事例セミナー」 で講演した内容の一部でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012/05/26 04:25:10 PM
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