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レジャーサービス研究所(東京&上海)

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2012/06/23
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カテゴリ:インバウンド対策



先日、とある団体のセミナーであった質問です。
講演後の質疑応答の時間になると、真っ先に手を上げた経営者がいました。
(テレビCM、雑誌やネットの広告でも有名な企業です)
以下のコメントの概略です。

===
この3年間、国内の売上減少をカバーするために、
外国人観光客を集客して売上をあげようと、積極的に投資してきた。
英語、中国語、韓国語のHPを制作し毎月更新する。
中国のブログやSNS(ウェイボー)を毎週発信する。
その他、外国人観光客用のWebサイトにも毎月広告を出してきた。
上海や北京、広州、ソウル、台北などで行われる観光関連のイベントへの出展。
また、その現地旅行社の視察出張。
メニューやパンフレットなどの翻訳(3ヵ月ごと)。
従業員の語学研修(毎週)。

合計すれば1億円を超える投資になる。
しかし、実際に外国人観光客による売上は1/10にも満たない。
このままこんなことを続けたらますますジリ貧になってしまう。

改めて考えてみると、各社が
「うちこそがインバウンドのプロです」みたいなことを言うが、
どこも「ぶつ切りのサービス」ばかりだ。

そして、そのほとんどが結局は「広告屋」で、
さらに会社も日本にあって、インターネットで商売しているだけ。

現地でのイベントも、結局は広告代理店が仕切っていて、
良く見れば「サクラ」がたくさんいる。

それに、各社が成功事例とか実績と称して見せるもののほとんどは、
結局のところ、東京、大阪、京都、沖縄、北海道、、、
百貨店に大型ショッピングモール、世界的有名ブランド店、、、
さらに良く見れば、銀座に秋葉原に原宿に富士山、、、という
誰でも集客できる場所の実績ばかり。
こんなのは別にプロじゃないでしょう。
予算を渡せば、大学生でもできる。

インバウンドに関して言えば、各企業の出費は毎年増加している。
しかし、収益にはなってない。
逆に、それらを扱う広告代理店や旅行代理店は儲かったり、
その周辺サービスの企業はどんどんできている。
なんかおかしくないか?
少なくとも「ウィン&ウィン」になってないのが現状だ。

例えば、島根、鳥取、愛媛、佐賀とか、
普段から観光産業で困っている地域の役に立てるだけノウハウを持っている
本当の実力者はいないのか?
そういう会社はないのか?
あればぜひ教えて欲しい。

===

というような、とても厳しいご指摘がありました。
まさに本音だと思います。

まぁ補足すれば、別に私に怒りをぶつけたわけでもなく、
本当に困っているから、プロがいるなら教えて欲しい、ということでした。

こういうリアルな声は、なかなかネット上にも出てこないので
(出したくない人、出されたくない企業がいるから)
あえて紹介しました。

そこでの私の答えも一部紹介します。

===

確かに、おっしゃるようなインバウンドビジネスの全てを知るプロはいません。
特に中国市場に関して言えば、どこも似たり寄ったりです。

元々、中国市場がオープンになってきたのはこの数年なので、
そういう意味では、どの企業もまだまだ経験不足です。

「ぶつ切り」の件もその通りです。
全体の専門家は、私も探しています。
ただ、やはりいないのが実態です。

例えばHPを英語や中国語に翻訳できる会社はあります。
しかし、HP全体として全て任せられるか?というと、これまた難しいのです。

文章は訳せても、掲載する「写真」がうまいかどうか?が問題になります。
写真もただ景色を撮影するのがうまくてもダメで、
外国人に興味をもたれるように撮影できるかどうか?なんです。

すると、外国人と付き合いのある人や、
彼らをガイドしたことがある人がうまい人となります。
そういう人は、外国人の興味を誘う写真がうまいのです。

ブログやSNSも開設して情報を発信するのは簡単です。
それを翻訳して、アクセス数を集めるのも実は難しくありません。
しかし、それで実際に日本に集客できるか?というノウハウはまだありません。

けれど良く探せば、外国人の興味を惹く文章のうまい人がいます。
そういう人を探して協力してもらうしかありません。

その他、飲食店のメニューの翻訳も、実力は各社マチマチです。
フリーペーパーも「「地図」をどう記載するか?を見れば、プロか広告屋か?わかります。

このように、
どの分野の専門家でもそれぞれが長所と短所があることを認識しておくべきです。

そこで今求められるのは
全体をコーディネートできる人です。
各分野の専門家の実力を熟知していて、
クライアントの要望に合わせてコーディネートしてくれる人や企業。

ただし、これは条件があります。
それは「ヒモがついてない」ことです。
単に「長い付き合いだから」とか、、、(笑)。

そうでないと、自分の付き合いのある企業を推薦してしまうからです。
それで、結局、裏でキックバックをもらう、、、というビジネスになってしまうのです。

なのでまずは「ヒモつきでないコーディネーター」を探して、
各専門業者に部分発注をして、それぞれの成果を一緒に評価していく、、、
そういう積み重ねが必要だと思います。

発注して評価する、、、と繰りかえれば、
それぞれの本当に得意な分野がハッキリしてくるので、
効果もあがってきます。

反対に注意点は、いち業者に「丸投げ」してしまうことです。
皆、口では「インバウンドの専門家」を名乗るので(笑)。

それとコメントにあった「島根、鳥取、愛媛、佐賀」のような
観光で苦戦している地域の取り組みに関してですが、
私の考えは、まずは「同郷の人」にお願いする、ということです。

例えば、北京に島根県出身の方がいれば、
中国のブログやSNSの情報発信はその人に依頼していくのが望ましいです。
現地にいる人に中国語で発信してもらうのです。

実際にこれを実践して効果を上げている人たちがいます。
外国人の立場に立てば、
書いている人が日本人でしかも故郷の記事を書いているというのは自然だし、
「広告の臭いがしない」ということで好評です。

また、現地にいるからこそ、島根県の良さを再確認できるわけです。
同時に、「この部分は中国人にとっては珍しいはず、興味を持つはず」というように、
相手が興味を惹く情報を抽出することもできます。
これは、日本の業者ではなかなかできません。

何より本人に直接お願いするので、コストも安くなります。

私自身、今年初めてメキシコに行く際には、
日本に住むメキシコ人の方のブログを見て、メールで質問して情報収集しました。

外国にいると、故郷の素晴らしさを伝えたいと思う人は多いのもです。
そうした「故郷を想う人」に協力してもらうという大事なことが抜けている地域は多いです。

現地には「○○県人会」もあります。
そこに参加すると、様々な分野の人々が働いていることがわかります。
メーカーの人もいれば、小売業、飲食業の人もいます。
現地の人を相手に商売をしているので、こんなに強い見方はいません。
効果的な広告の出し方だって知ってます。

そこに集う人にとの知恵を借りることも考慮しなければなりません。

全体として「専門家がいない」のは事実ですが、
このように見方を変えれば、地域ごとの専門家になりえる人々はたくさんいます。
これは中国だけでなく、それ以外の外国でも同じことが言えるかと思います。

ということで、再度言いたいのは「丸投げ禁止」です(笑)。








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Last updated  2012/06/23 04:11:05 PM
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