栴檀は二葉より芳し
♪君が思い出になる前に (スピッツ)「せんだんは ふたばより かんばし」栴檀という木は、まだ若い二葉のころから、すでに良い香りを放つところから人間も非凡な人は、子どものときから非凡なところがあるものだ、という意味。僕の社会人生活の振り出しは、「企画事業部」というイベントなどを企画運営するセクションでした。一年目の冬、六甲山で視聴者から参加者を募集してスキー教室を行うイベントを任されたときのこと。スクールの後のアトラクションの司会に、当時まだ売れていない漫才コンビの紳助・竜介を起用することになりました。朝早く、スキー場に着いた僕たちスタッフは、初対面の彼らをちょっぴり緊張しながら待ち受けていました。ほどなくやって来た二人に、僕はおっかなびっくり。見るからにヤンキー丸出しで、挨拶らしい挨拶もせず、ふてくされた態度なのです。早朝ということもあって、とても眠そうで、見るからにやる気がなさそうでした。打ち合わせが始まっても、聞いているのかいないのか・・・、こちらも社会人一年生で不安だし、ああ、今日のイベントはどうなるんだろうと泣きたい気持ちになりました。スキー教室も終わり、いよいよ紳助・竜介の司会でアトラクションが始まりました。で、本番はどうなったのか・・・。ふたを開ければ、実に軽妙な進行でお客さんも大盛り上がり。台本を持たずにしゃべっているのに、しっかりと覚えているではありませんか。それどころか、台本の内容をふくらまして、打ち合わせ以上に素晴らしい司会をこなしてくれました。こうして、入社して僕が初めて一人で任されたイベントは、大盛況のうちに終了しました。「こいつらは、すごいな」というのが、そのときの素直な感想です。そして、彼らは間違いなく売れるだろう、と確信しました。その後の二人の活躍は周知のとおりです。あのとき、僕よりもずっと若いと思っていた紳助さんが、僕と同じ歳だと後で知ったとき、僕もがんばらなあかんなぁ、と痛感したのを覚えています。