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Mar 29, 2016
カテゴリ：Privatｅ
仕事の帰り、弟から
母が胸の痛みを訴えて救急車で運ばれ緊急手術になった という連絡が入った 驚いたが本人は話しが出来て 手術も30分位で終わるとのこと 承諾書も自分で書いて 弟が駆け付けた時にはもう手術は始まっていた、と。 それなら然程心配することもないだろう、とは思ったが 私も旦那も次の日仕事が休みで病院も遠くなかったので 取り敢えず行っておくか、程度の気持ちで病院に向かった。 付き添っていた母の友人の話によると 3日前に気持ちが悪い、眩暈がする、と本人が言っていて 大きな病院にも行ったが、薬を貰ってその日に帰されたらしい。 その時私は何も考えてなかった。 目の前で入院手続きの書類を弟が書いていた。 弟が一応妹にも連絡をしておく、と待合室を出て行った。 弟が戻り、妹には私もいるから直ぐに病院に来る必要はないと話したから 来るかどうか分からないと言った。 病院に来てから30分は経っていたと思う。 終わる気配のない手術室のランプを見上げ 母の友人に手術が始まった時間を訊いた。 逆算すると1時間は経っていた。 気のせいか手術室の中が騒がしい 大きな病院なので手術室には手術台がいくつもあって 側で誰かが手術しているのかな、と思っていた。 唐突に手術室のドアが開き1人の医師が家族に説明しなくてはならない話がある、と言う。 開いたドアの向こうでは大勢の医師や看護師が忙しなく動き回っていた。 別室でレントゲン写真を見せられながら 母の容態が楽観出来ない状態であることを告げられた。 救急車で運ばれた時は、簡単なカテーテル治療で済むと思われていたが いざ始めると母の血管は想像以上にボロボロだったという。 原因として考えられるのは数日前に心筋梗塞を起こしていたのではないか、ということだった。 誰もが3日前にこことは別の大きな病院に行ったという話を思い浮かべた。 医師の話は感覚的に8：2の割合で危険な状態と言っているように思えた。 突然急激に鼻が痛くなり、涙が溢れた。 部屋を出てから、弟は急いで妹と連絡を取っていた。 30分後、再び先程の医師が一層悲壮な表情で現れ、母が危篤であることを告げた。 会わせたい人がいたら直ぐ呼んで下さい。と 私達は母の元へと促された。 手術台にいた母はもう自力で呼吸が出来ず、心臓も動かせないという状態で たくさんの機械に囲まれ、大量の点滴で顔はパンパンに腫れ 人工呼吸器を付けた唇が膨れて捲れ上がり別人の様だった。 脈を計測する機械には15～20を行ったり来たりする数字が表示されていた。 手を触るととても冷たく、腕は毛穴から血が滲み出ていた。 小さく、お母さん、と問いかけてみる。 お母さん、お母さん、徐々にボリュームが大きくなった。 揺さぶっても反応はない。 これは本当に生きているのか？ 医師に訊くとわずかながら自力で脈は打っているという。 弟は時々廊下に出て妹に電話をしていた。 戻って来て母の耳元に立ち、妹が来る迄がんばれ、と言った。 私も、もう少しで来るからがんばって、と言った。 断続的に数秒脈拍が0になるという状態が続き 不安が心を覆い尽くそうとしていた、その時妹はやって来た。 その後10分？15分？ 機械の数字は永久に0を表示した。 医師は手術の経緯等を説明してくれた。 3日前に行った病院の話が出た。 その時、心筋梗塞が発見出来たら・・・ 医師は、その時の状態が分からないのでなんとも言えないと答えた。 母がどのような訴えをしたかも分からず 診てもらったのも内科だった。 妹や弟は腑に落ちない蟠りが消えないようだったが 私の疑問は別のところにあった。 いつもくだらない話で電話を掛けて来る母がなぜ1度も連絡をして来なかったのか？ 私が仕事で忙しいと気を遣ったのかな 思わず声に出して呟いていた。 側にいた母の友人が、そうかもしれない、と答えた。 翌日、母の荷物を整理する為、母の家に行った。 昨日の母の顔が別人の様だったのをいいことに もしかしたら母がいるんじゃないか、なんて思ったりした。 あんた何言ってんの！そりゃ違う人だよ！ガハハ なんてことはあるはずもなく 主を失った荷物達がそれを知らず帰りを待っているだけだった。 母がいつも座っていただろう席に腰を下ろし 目の前を見ると、暮れに贈ったお茶の缶が大事そうに鎮座していた。 お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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