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テーマ:てんかん仲間あつまれ~!(91)
カテゴリ:てんかん
てんかんの外科手術をなさった患者の方が術後三年目にして大きな発作を起こしたというものでした。それだけならば結構ありがちな事ですが…。 がっくりでした。 その方はてんかんなりたての新人ではありません。てんかん協会の活動にも参加されて、全国で開かれているてんかん講座にも出席したり、街頭でてんかんへの理解を求める運動をしたり、精力的に関わっておられる方です。 なぜそんな人がそんな事をと日記を遡っていくと何ヶ月前にも怠薬をして医師にかなり厳しく怒られていました。その記事とコメントへの返事から私は、その方がいまだ自らがてんかん患者である事を心の底で拒否しているように、そして、その事を認識しておられないように思いました。 『認識』というのは二つあると思います。一つは自分はかくかくしかじかの状態だから現実に対してかくかくしかじかの対処をしていかねばならないという思い。そして一つはそういう現実そのものをげんなり、嫌になっちゃうと思う自分の感情そのものを見つめる事。両方をやじろべえのおもりのように持っていかないと、結局バランスを崩してこけてしまう…。 …まだるっこしい言い方。 外科手術の技術がとても上がっててんかん患者でも、手術で治る人も出始めて、それでも外科手術を受けられない患者もいる。服薬を続けてもなかなか発作が抑制されない患者もいる。ウチのダンさんだって30分、薬が遅れればもう真っ青もんだ。寝ていたって服薬時間になれば起きて薬を飲まねばならないんさ。きちんと服薬していても発作を起こす事がある。でもそんな努力を地道に二十年以上続けてきてやっと光が見え始めている…。 そんな患者から見ていれば、手術受けて三年以上発作ないなら、頼むから治ってくれ、慎重にやってくれ、後戻りはするんじゃないぞ…そんな思いになるのも自然だべ。まして治療に手術に関わってくれた主治医の先生や家族は尚更だろう。発作起こして悲しむのは、ショック受けるのは自分だけじゃないよ。何を好んでリスクを冒すかなぁ。こんな危険な賭をしてまで何を手に入れたいの? 「てんかん患者」である事をやめたい…気持ちは分かるよ。みんなそうだと思うよ。それともいまだに自分がそう思っている事を認められないだろうか。肝臓が悪くなる、眠気との戦いだ...当たり前でしょ。みんな分かっていてそれでも発作の抑制第一で戦ってるんだ。誤魔化したら駄目だよ。自分の持つ自己差別意識に気づいてそれをコントロール下に入れない限り、それは無意識にまわりのてんかん患者を傷つけるよ。 人間が『人類』という群れとして進歩を追い求めるなら、てんかん患者も『てんかんに関わる者達』の群れとして進歩を求めていく。医者や社会だけに何かを求めて、一番の当事者である自分が怠薬なんて足ぬけしてどうなるよ。折角怠薬を厳しい言葉で戒めてくれた医者の言う事より自分の感情を優先させて、じゃあ一体どうやって病気を治していくつもりなの? 最後にもう一つ。あなたみたいに自分を表現しているてんかん患者の行動は、他の患者に、医師に、看護師に大きな影響を与える。あなたが医療を軽んじる発言をすればそれでいいと思う人が出る。自分が患者としての本分を尽くさないまま、医療の未熟や福祉の遅れのせいだけにする患者も出てくる。医療機関の人間には「やっぱりてんかん患者ってのはしっかりしているようでも…」そう思う人も出てくる。 どうかてんかん患者として責任をもってこれからの人生を生きていって下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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