[旅] ブログ村キーワード 亡くなった伯父の49日の法要の為、高岡へ行ったルーち夫婦のドタバタ日記・その14
さて、靴の呪いも解け、熱も下がってきたダンさん。
ようやく食欲が少し出てきた。
ルーちが昼に握った味噌おにぎりと、昨日の折り詰めをぱくつく。
それでもまだまだ油断は大敵と、水分と風邪薬を飲ませてギリギリまで寝かせておく事に。
おふろから戻ってきたおねえちゃんはがらーんと人気の少なくなった家で
ルーちと話し始める。
嫁さんが息子のことを何て言ってた?…ってさ…
そんな事、筒抜けに話したら道義に反するでしょうに…
ルーち、心に脂汗をかきながら、
「そりゃまあ、ちょっとした愚痴を。」
嫁が帰ったとなれば姑の話すことは嫁の愚痴になるのが世間の相場か。
どっちもどっちよ。
…中立国のルーち、あっちからもこっちからも色々聞きます。
ま、そんなモンだと思っている。
どんな時でも愚痴のでない嫁姑なんて、そうそういるもんじゃあないものね。
そうそう、そうやってガス抜きした方が大爆発に至らずに済むってもんさ。
この後、家を直しに大工さんが来るので
おねえちゃんは法事が終わってもやる事満載である。
片づけをしながら話し続ける。
伯父さんは
「この家は維持しようと思ったら生半可な事ではいかないから、自分が死んだら
あんた達のいいようにしてくれ。」
そう言ったそうだ。
「人間不思議なもんでな、そう言われると『いえ、お義父さん、私達できるだけやってみます』
いう気になるねん。」
…伯父さん、そこまで覚悟を決めてたんだね。
でも伯父さんの心に答えてくれるお嫁さんで本当によかったよね。
そんな事を話しながらおねえちゃんは、
多分長らくこの家に置かれてきた食事道具などをぽいぽいダンボールに入れる。
「お義父さんには思い出の品かもしれんけど、私には思い出ないもん。」
ある種の感慨がルーちの胸をはむ。
この家は昔の形に直され、維持され、常時人が住む訳ではないけれど、
一族の別荘のような形で使われる事になっている。
この家は、家や庭は残るのだろう。
でも失われるものがある。
途切れてしまうものがある。
それは仕方のない事なのだろう…
家を形作るのは建材や家具、庭の樹々だけではない。
そこに住む人の思いが家の、庭の一部になって生きていく。
太い柱についたネコの爪痕…これは自分の知っているあの人が飼っていた猫のものだとか…
そこに住んでいた家族の思い出が家を家にする。
現にもう。
食器などへの思い出に愛着を抱く人もなく、
どんなに庭師を頼んであっても伯父さんの大切にしていた盆栽は枯れかけている…
ルーちはこの後、畳や柱、庭の樹々達にさわりながら話しかけてきた。
ここに住んでいた人の血が流れる人間として、感謝と、そしてお願いとを。
この家をこんなに愛おしいと思ったのは…
この体を流れる血のせいなのか。一つの終焉ゆえなのか…
…つづく
ポチッとな ( ^ー°)b
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