カテゴリ:よりよく生きること
先日、友人との夕食時に近況を話していてふと口をついて出たのが “自分の上書き”。最近起こった仕事上の失敗について語っていた時だった。
--------------- 小中学校での情報モラル授業支援の仕事も早2年。だいたい月2-3回のペース。 かなり慣れてきて授業や講習の準備も効率よく行えるようになり、本番でもそんなに大きな失敗はなく、自分の講義の質がある程度の水準に達しているんじゃないかと考えるようになっていた。 そんな時、元締めの会社で久しぶりに講師レビューを実施するというお達し。 ある日のLukeの授業で社内インストラクターが同行してビデオ撮影とモニター、フォローアップを受けた。 Lukeの稼働はほとんど単独なので、いい機会と思い特に気負いもなく本番が始まったのだが、なんとこの日に限って話はボロボロ、ことばがスムーズに出なかった。社内インストラクターの評価も辛口だった。でもいちいち図星の指摘だったので、かなり落ち込んで帰ってきた。 大人のインストラクター歴が長く、話すことに自信があり、この新しい仕事でもうまくいっていると高をくくっていた、その隙があったのだろうと思う。それは事実として受け止め、指摘されたところは改善しようと、次の授業の準備を始めた。 しかし深刻な事態になったのはその後だった。次の本番ではレビューで指摘されたLukeのことばのくせ、言い回しなど気をつけて話し始めたのだが、そうしようとすればするほど“ことば”が出ない。暗記するほど何回も行っている授業だ。そんなはずはない。一体何が起こった? ついには5秒ほどの沈黙、という放送事故レベルの事案も発生した。幸い講義を実施した学校の先生方からは特にクレームもなく、Lukeが思ったほど違和感はなかったらしい。このギクシャクした状態がその後2回の授業で続いた。 50代も後半に差しかかり、ああもうこの仕事は無理なのかなあと最悪の気分になりつつあったその月、予定していなかった臨時の授業依頼があり、その仕事を引き受けることになった。2日連続で2つの小学校を訪問、それぞれ4時限の授業支援だった。 準備の時間は少ない。落ち込んでいる暇もなく、授業で使うPowerPointスライドの内容を確認、時間配分とスライド進行に沿った話の展開を考え、実際に口に出してリハーサルもした。 そして臨んだ本番。2日間連続4時限の授業は無事終わった。悩んでいた言い回しのよどみもなく、というか、そんなことを気にしている余裕がないまま走り抜けた、というのが正直な実感だった。 そして今月も2回の授業支援があり、何事もなく無事終了。無事どころか、今までで一番いい授業だったのではないか、とさえ思っている。一体あの“魔の時間”は何だったのか。 --------------- この出来事を友人に話した時、ふいに心に落ちたのだ。人は一つ所に安住はできない。安全なところに腰掛けて油断していると思わぬところで足をすくわれる。自分をアップデート(上書き)する必要があるのだと。 Lukeはパソコンオタクのインストラクターだから、そんなIT用語が自分をあらわすことばとして意識の底から湧きあがったのだろう。口に出した本人があまりにぴったりで驚いた。 具体的にどんなことがLukeの中でアップデートし、上書きされて今現在のLukeになっているのかは、実はよくわからない。それでも上書き後の状態であることはわかっている。 ソフトウェアのアップデートは悪いところを修正し、新しい機能を追加するが、一方で古くなった機能を削除することもある。それが結構気に入って使っていた機能だったりするとガッカリするが、それを望んでも一度アップデートしてしまえば、もう前のバージョンには戻れない*。 またいつかアップデートの機会は訪れるのだろう。その時は今回のようにあわてずに対処したいものだ。 それ来た来た!また新しい自分に出会うチャンスだと。 *ソフトウェアメーカーによっては以前のバージョンに戻す手順を用意していることもあります。しかし原則として古いバージョンのメーカーサポートは受けられないとお考え下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年12月26日 03時15分21秒
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