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2019.12.19
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カテゴリ:表沙汰
何日か前、夜中にすごい腹の痛みがきたので、この痛みというものを意識して「見よう」と思って、痛みに意識を集中させてみた。「心頭滅却すれば火もまた涼し」みたいなことにはならない。捉えても、別に消えたりはしない。「幽霊の正体見たり」にはならないで、痛みは痛みだ。私の体の痛みが本体なのか、痛みを感じるということ自体が本体なのか、わからない。
 できることが、できなくなることを苦しみだとはいうが、こういう痛みは、それとは違う。ただ痛みは存在しているのだ。

 交通事故で、昔Tシャツが血で真っ赤に染まってしまうくらいになったときは、痛みはなかった。大きすぎる怪我には痛みが麻痺するという。人が死ぬ時もそうであって欲しい。
 同じく、昔、川ではまって死にかけたとき、最初は抵抗していたが、やがて「ああ、これで人生終わりだ」と思った瞬間、苦しみはなくなった、その瞬間、助けられたことがある。人が死ぬ時もそうであるならなんと心強いことだろう。死ぬことそれ自体にはきっと痛みはないだろう。
 ただやはり、生きているとどうしても痛みが、自分は決して欲していないのに向こうからやってくるから、それはどうにも許せないものである。





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最終更新日  2019.12.19 21:45:09
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